「ごめん......っ」
「っ、どうしてっ!」
桜駒は力任せに俺の胸板叩いた。
「お兄ちゃんも紫悠も間違ってないのに、どうしてそうやって謝るの!二人が怒らない度、私の心は惨めになる......っ!」
「桜駒、」
「私は!ただ普通に暮らしたかった!望まれない娘でも、愛されない妹でも可哀想な幼馴染でもなくて!只々普通に暮らしてみたかった......!」
そう言った桜駒は膝から崩れ落ちて、手で顔を覆う。
そんな妹を、強く抱きしめた。
「私はただ......お父さんたちに、愛してほしかっただけなのに.....っ!」
一望まれないで生まれてきたことを、教えてしまった。
本心を言わずに、ただ黙って生きてきた妹は。
家族の愛が足りなかった。
.....いや。
俺も、愛してやれなかった。
愛し方が分からなかったなんて本当は半分嘘。

