「桜駒はきっと、貴方に会いたいだろうから」強い眼差しでこちらを見る希空さんに威をつかれる。
会いたいだろうから、桜駒の言いつけを破ってまでも.....?
くしゃっと紙を握る。
視界がぼやけ始め、手の甲に何かが落ちたとき、それが涙だって初めて気づいた。
そんな俺を見て、魁眞さんと希空さんは驚いた表情をし、紫悠は何も言わずに俺の頭を自身の方に引き寄せた。
ポタポタ、と涙が零れる。
俺が泣いたのはきっと、物心ついてから初めてだった。
空港に着いたのは、7時過ぎ。
「落合!早く!桜駒もう行っちゃう!」慌てて走って、桜駒の姿を探す。
何処だよ......っ。
まさか、もう行って一。
そんなときだった。
「聖社.....?」
一懐かしい声を聞いたのは。
後ろを振り向き、その顔を捉えると感情が揺さぶられる。

