地の果てに咲く花

一人の男子が校舎の中に走って行った。

別に走らなくても……。

でも、桜駒の最愛のお兄ちゃんに会うと思うと、心臓が暴れ出しそうだった。

前に一度会ってるけど、話してないし……。

桜駒のお兄ちゃんは、桜駒の病気のこと知ってるのかな……。

出てきたのはこないだ見た人。

やっぱり桜駒に似てない。

つまり絢沙伯母さんにも似てないから、父親似なんだろう。

「えっと……」

「……私、楠見 希空。貴方……落合 聖杜、だよね」

「そうだけど……」

彼と隣にいるもう一人の男子生徒が怪訝そうな顔をする。

そりゃそうか。知らない女が自分の名前知ってるんだもんね。

「私は桜駒の従姉。桜駒に頼まれて貴方に会いに来たの」

「桜駒っ……⁉︎」

目を見開けて、詰め寄るように私を見る。