らしくしよ、恋ってやつを



「──……こんな感じだな」

遠目で花を確認し、少し手直しした貴公子は、出来たと大きく頷き、茎を新聞紙でくるむ。


「どうよ、皆森」
「なんか、いつもより花の色多い?」
「ああ、ちょっとガチャガチャして見えるかもしんねぇが、その社長とやらがこの良さに気付けるかっていう意味でやってみた」
「おー……いいね!いいと思うぞそういうの」

ニッと笑って見せれば、貴公子も同じように笑った。

「だろ?……ん?」
「なに?」

急に窓の外なんか見るなんて。と思えば、サーッと雨の音が聞こえてきた。

「……傘、借りてもいいか」
「そりゃ勿論」

いっきに降ってきたみたい。さっきまであんなに晴れてたのに……
一階におりて事務室に寄り、傘を取りに行こうとしたら、正面からお母さんが小走りにやって来た。

「椿冴さん、お花ありがとうございます。急なお願いでごめんなさいね」
「いえ。お気になさらず」
「それでね、今雨が降ってるみたいで、多分通り雨だと思うのだけど、せっかくだから椿冴さん、裏の家で雨がやむのお待ちなって?」
「えっ」

家に貴公子招くの!?

「是非」