「はぁ……言われたからにはやるしかねぇな」
「え、あの……」
貴公子が咳払いをひとつして、畳の上に正座をした。
だからそれにつられて、私も荷物を置き正座に。
「改めまして、鼓椿冴です。今日からどうぞよろしくお願いいたします」
「こ、こちらこそよろ──」
「……つーことで、スパルタでいくから泣き言言うなよ。お前の前で爽やか貴公子はしねぇからな」
なんだこの変わりよう。
挨拶部分だけは、本当にプリンス感あったのに、一瞬にして不良感漂う和服男子になりかわったぞ。
「こっち来い。始めんぞ──」
素の貴公子から簡単な説明を受けた私は、横から物凄い視線を浴びながら、花を生けることに。しかし……
──な、なんで?
授業では大丈夫なのに、足がしびれてる。
開始間もない頃から徐々に足の違和感はあったけど、こんなしびれ方はなかなか……
でも、これで最後の花だから我慢、我慢。
全体を見てここだ、と思ったところに最後の一輪を……よし、終わっ──
「あ"いっ……!?」
グリっ、としびれる足の裏が押され、とんでもない声がもれ、咄嗟に口をおさえると、押した犯人を睨んだ。



