十年後の答え合わせ

(葉琉……本当は私もね……ずっと一緒にいたいよ)

そう言えたらどれほどいいだろう。

でもきっと今、別れなければ私はこれから色々な場面で後悔する。

葉琉と別れることが、私が葉琉から今までたくさん貰った愛情へのお返しだ。


(いつかまた会えたら……その時は笑えてるかな)

私は奥歯をぐっと噛み締めると、手の甲で雑に涙を拭い葉琉の目を真っ直ぐに見つめた。

「ごめんなさい。もう決めたことだから」

葉琉は何か言おうとしたが、唇を閉じると私の手のひらから大きな手を離した。

「……わかった。困らせてごめん」

「ううん」

私の胸が鋭いモノで突き刺されたように、ぎゅっと痛む。

初めて知った恋の終わりの瞬間は、きっと一生忘れることはないだろう。


同じクラスで同じ美術部の葉琉と出会ったのは一年生の春。

鉛筆の貸し借りをした時に私はその優しい笑顔に一目惚れした。ずっと好きで苦しくて、二年生のバレンタインで思いが通じ合ったときは人生で1番といってもいいくらい幸せだった。

私の初恋であり初めての恋人だった。

まさかこんな風に別れる日がくるなんて、私もそして葉琉も想像してなかっただろう。