気分が乗らまいと足が重かろうと、根が真面目な私は始業のチャイムが鳴るまでにきちんと自分の席に座っていた。

教室に到着した時ドアの傍にいた子と挨拶を交わした後、「佐々木くん来てる?」と一応の確認をとる。答えはノー。彼が居ないことを知り、胸をなでおろして教室に入った。

今まで気にしていなかったけど、佐々木くんは私のナナメ前の席。つまり彼が登校してくると、必然的に私の視界に入って来る。

その瞬間が訪れることにビクビクしながら一限ずつ授業を終える。だけど三限目が始まった時「さすがにもう今日は来ないんじゃない?」と気が緩む。

だけど油断は禁物。
そういう時に限って、私の目は彼の姿を捉えてしまった。

だけど佐々木くんを見たのは、〝教室で〟ではない。お昼休みにぴ助を思い出して泣きそうになったから、皆から離れて一人中庭へ来る。その時に、偶然にも佐々木くんを見つけてしまったのだ。

「おい佐々木、昨日もひと暴れしたんだって?」
「なんでも、先輩にたてついたとか」
「それなら俺らとも遊んでくれよ、な?」

「……」

男の先輩三人に囲まれる佐々木くん。いかにも不良です、っていう強面の先輩たちだ。

異様な光景を見てしまい、足の底から震えあがる。目の前に来られたら、失神して倒れてしまいそうだ。だけど佐々木くんは全く動じていない。何を言われても顔色一つ変えず、逃げることなく先輩たちと対峙している。

「何しているんだろう。早く逃げればいいのに……」