心とりかえっこ


ねぇ佐々木くん。学校の皆が佐々木くんへの誤解を解いたらさ、そうしたら佐々木くんは今よりも学校に来てくれる?

もっと私、佐々木くんと一緒にいたいと思っちゃったんだ。だから佐々木くんが「学校に来たいと思える教室」に私がしていきたい。

その一歩が、心から皆と仲良くなるってことなら私、勇気を出して皆とたくさん言葉を交わすよ。目に見えない大事な絆を、佐々木くんを交えてたくさん繋いでいきたいんだ。

「じゃあな。ありがとう、ついてきてくれて」
「ううん。おばあちゃん良かったね」
「……ばあちゃん、ブドウを詰まらせたみたいでさ」
「え、ブドウ?」

ブドウって、果物のブドウ?すると佐々木くんは頷いて「俺の好物で毎日弁当に入っているんだ」と、また頬を赤らめた。

「俺の弁当を作る時、自分の昼も作っていたらしい。だから昼にご飯を食べていた時、喉にブドウが……。それを知った母さんが〝ばあちゃんにとって安全な弁当を、今度は私が作る〟って宣言したんだ。だから……今度から、母さんが弁当を作ってくれることになった」
「そっか……そっかぁ」

おばあちゃんが作ってくれるお弁当だって嬉しい。だけど佐々木くんにとって〝お母さんが作ってくれるお弁当〟っていうのは、きっと特別な意味を持つと思うから。なんだか私まで嬉しくなって、ポカポカと胸が温かくなった。