佐々木くんがお母さんと再び電話をしている間に、自動販売機で水を購入する。佐々木くんが座るベンチに踊って来た時、もう電話は終わっていたらしく、彼は落ち着いた顔で遊具で遊ぶ子供たちを見ていた。
「はい、水。飲める?」
「……ん。ありがと」
佐々木くんはどこか恥ずかしそうに私から水を受け取り、どこか恥ずかしそうに冷えたペットボトルを目の上に置いた。目がはれたのだろうか。私もやった方がいいのかな。
好奇心で、同じ行為をしようとした。すると佐々木くんが「こら」と、私のペットボトルを持ち上げる。そして自分と私、二人分のキャップを外した。
「いいから水野は、大人しく飲んでなさい」
「でも私〝も〟泣いちゃったし」
「〝も〟を強調しないでくれるかな……」
苦笑を浮かべた佐々木くんは、ポツポツとおばあちゃんのことを話し始める。
「学校に行こうとしたら母さんから電話があってさ。家でばあちゃんが倒れている、息していないって。聞いた時、心臓が止まるかと思った」
「そんな事になっていたんだ……」
そこまで壮絶なことになっていたんだ。佐々木くんからペットボトルを受け取りながら、その時のことを想像して指先が冷えていく感覚を覚える。



