佐々木くんは、顔から手を離す。涙が流れなくなったタイミングで手を離したのだろうけど、しっかりと跡が残っていた。私は、そんな彼の頬に手を添えて「言ってみて」と促す。
すると今度は流れ星が私に写ったのか、私の目からも何度も星が瞬いた。そんな私を見て佐々木くんが頷く。私と同じように、彼も私の頬へ手を添えた。私の両頬に温かな体温が乗っかる。
「ばあちゃんは……大丈夫」
「うん」
「大丈夫……」
「うんっ」
ニッと笑みを浮かべると、佐々木くんの口角が僅かに上を向く。
その時だった。
彼のポケットに入ったスマホが、大きな音で鳴り始める。弾かれたように私から離れ、佐々木くんは電話を受け取った。
「母さん。うん、ばあちゃんは……そう。分かった」
「……っ」
そう言えば私、おばあちゃんがどんな容態なのかまだ聞いていない。何があったんだろう。おばあちゃんは大丈夫なのだろうか。お願い、佐々木くんの言霊が神様に届いて!



