佐々木くんの声が、どんどんと小さくなっていく。いつもの彼とは百八十度違う彼を目の前にして私は「そんなことないよ」も「違うよ」も言えないまま、ただただ彼の頭をなでた。
彼が本当にヒドイ人だから、彼の言葉を否定しなかったわけじゃない。なんとなくだけど佐々木くんは今、自分を許してほしくないのでは?と思ったんだ。だから私も、彼の心に寄り添いたくて「大丈夫」と、その言葉だけを何度も繰り返す。
ズッと鼻をすする声が聞こえる。
声にならない声が私の腕から聞こえてくる。
そして、
「水野、俺と取り換えて」
「え?」
「ぴ助との別れを乗り越えたお前の心と俺の弱い心、今すぐにとりかえて」
「!」
そうか。いつも佐々木くんは怖かったんだ。自分の唯一の理解者であるおばあちゃんがいなくなることを恐れていたんだ。だから「死」に関して無頓着に見えたんだ。
ぴ助のことを「たかがペット」なんて悪態をついたのも、死を直視したくなかったから。または反骨心というのだろう。おばあちゃんがいなくなって今度こそ一人ぼっちになる世界を想像したくなくて、必死に自分の心を閉ざして過ごしていたんだ。
「ばかだなぁ、佐々木くん。こういう時こそオラオラして、ドンと身構えていればいいんだよ」
「無理だよ、ばか……っ」
「無理じゃない。言霊って言うでしょ?いつもの強気な笑みで〝おばあちゃんは絶対に大丈夫〟って言ってみてよ」
「……っ」
彼が本当にヒドイ人だから、彼の言葉を否定しなかったわけじゃない。なんとなくだけど佐々木くんは今、自分を許してほしくないのでは?と思ったんだ。だから私も、彼の心に寄り添いたくて「大丈夫」と、その言葉だけを何度も繰り返す。
ズッと鼻をすする声が聞こえる。
声にならない声が私の腕から聞こえてくる。
そして、
「水野、俺と取り換えて」
「え?」
「ぴ助との別れを乗り越えたお前の心と俺の弱い心、今すぐにとりかえて」
「!」
そうか。いつも佐々木くんは怖かったんだ。自分の唯一の理解者であるおばあちゃんがいなくなることを恐れていたんだ。だから「死」に関して無頓着に見えたんだ。
ぴ助のことを「たかがペット」なんて悪態をついたのも、死を直視したくなかったから。または反骨心というのだろう。おばあちゃんがいなくなって今度こそ一人ぼっちになる世界を想像したくなくて、必死に自分の心を閉ざして過ごしていたんだ。
「ばかだなぁ、佐々木くん。こういう時こそオラオラして、ドンと身構えていればいいんだよ」
「無理だよ、ばか……っ」
「無理じゃない。言霊って言うでしょ?いつもの強気な笑みで〝おばあちゃんは絶対に大丈夫〟って言ってみてよ」
「……っ」



