「はぁ、はぁ」
二人分の息遣いが、だんだんと大きくなってくる。
おばあちゃんはどうしたのか、さっきの電話はなんだったのか。聞きたいことはたくさんあれど、どれ一つとして言葉に出来ないまま佐々木くんの後をついていく。
すると道を走っていた佐々木くんの足が、突如としてピタリと止まった。乱れた息遣いは過呼吸みたいで、すぐに佐々木くんの背中をさする。
「ちょっと歩こう、ね?」
「いやだ」
「でも、このままじゃ佐々木くんが倒れちゃう」
「いやだ……」
いやだ――と何度も呟いた佐々木くん。
その目から、スッと一筋の流れ星が落ちる。
「いやだ、俺からばあちゃんを奪わないで……っ」
「!」
両手で顔を覆って、その場に膝を折る佐々木くん。
もう私からは彼の顔が見えないが、彼の震える手の中で、流れ星が瞬いては消えているのだろうかと思うと放っておけない。「大丈夫、大丈夫だよ」と震える体を抱きしめる。
佐々木くんは私に抱き着くことはなかった。だけど何度も頭を摺り寄せ、私の存在を確かめていた。まるで人肌を求めるかのように。
「水野、ごめん。ぴ助のことを悪く言って、本当にごめん……」
「佐々木くん」
「きっとバチが当たったんだ。俺がこんなだから、ばあちゃんは……」



