ビックリした皆が、一斉に佐々木くんに注目する。私も同じく何事かと思い佐々木くんを見る。そして絶句した。
だって佐々木くんの顔には大量の汗が流れており、肩が激しく上下に揺れているからだ。酸欠なのか、ビックリするほど顔が青白い。
一目見て「佐々木くんに何かあったんだ」と思った。その「何か」を知るのが怖くて、慄いた私は口だけじゃなく全身が震え始める。だけど佐々木くんは皆をかき分けて、ずかずかと私へ歩み寄る。そして長い腕を私へ手を伸ばした。
「来て、水野」
「え、え?」
「ばあちゃんが倒れた」
「!」
耳元で聞いたのは、昨日会ったばかりのおばあちゃんの急変。
お弁当箱を持ち、顔をほころばせて孫の話をする彼女を思い浮かべる。声が蘇る。「あなた優しいのね」と私に言ってくれたおばあちゃん。
急な事態に頭がついていかない。だけど体は違った。震えていたはずの体がバネになったように動く。本能だろうか。気づけば私は、ガタンッと机を大きく鳴らして立ち上がっていた。
「佐々木くん」聞きたいことは山ほどあるけど、とにかく今は動きたい。彼と一緒におばあちゃんの元へ行きたいと願った。
そんな私の思いをくんでくれたのか、佐々木くんは私の腕を握って来た道をかき分けながら教室のドアへ近づく。
「おい、待てよ」
そんな私たちの行動は、谷崎くんから見ると教室から逃げているように見えただろう。鬼の形相で「時計を返せ」と繰り返した。
佐々木くんはピタリと足を止め、浅く呼吸を繰り返す。なかなか整わない息を見るに、ここまで相当走ったらしい。
だって佐々木くんの顔には大量の汗が流れており、肩が激しく上下に揺れているからだ。酸欠なのか、ビックリするほど顔が青白い。
一目見て「佐々木くんに何かあったんだ」と思った。その「何か」を知るのが怖くて、慄いた私は口だけじゃなく全身が震え始める。だけど佐々木くんは皆をかき分けて、ずかずかと私へ歩み寄る。そして長い腕を私へ手を伸ばした。
「来て、水野」
「え、え?」
「ばあちゃんが倒れた」
「!」
耳元で聞いたのは、昨日会ったばかりのおばあちゃんの急変。
お弁当箱を持ち、顔をほころばせて孫の話をする彼女を思い浮かべる。声が蘇る。「あなた優しいのね」と私に言ってくれたおばあちゃん。
急な事態に頭がついていかない。だけど体は違った。震えていたはずの体がバネになったように動く。本能だろうか。気づけば私は、ガタンッと机を大きく鳴らして立ち上がっていた。
「佐々木くん」聞きたいことは山ほどあるけど、とにかく今は動きたい。彼と一緒におばあちゃんの元へ行きたいと願った。
そんな私の思いをくんでくれたのか、佐々木くんは私の腕を握って来た道をかき分けながら教室のドアへ近づく。
「おい、待てよ」
そんな私たちの行動は、谷崎くんから見ると教室から逃げているように見えただろう。鬼の形相で「時計を返せ」と繰り返した。
佐々木くんはピタリと足を止め、浅く呼吸を繰り返す。なかなか整わない息を見るに、ここまで相当走ったらしい。



