そんな過去があったのに私はまだ小説を書き続けている。

それも今度は幼なじみである理沙と私について。

もうあんな辛くて惨めな思いするのは嫌だと思う反面、私は理沙が大好きだから、この関係を文字として残しておきたいと思った。

誰かにこんな最高な幼なじみがいるんだよって知ってほしかった。

だから小説賞に応募した。



もちろん、理沙はあんなこと言う子じゃないって小さい頃から一緒だしわかってる。

でも、もし言われてしまったら…?
拒絶されてもう一緒にいたくないって言われてしまったら?


怖くて、言い出せないよ……。




「じゃあ、また明日ね!美優」


いつの間にか家の前。



「あ、あのさっ、理沙…」


いつかは言わなくちゃいけない。

大好きな幼なじみに隠し事なんてしたくない。

でも…、もしも……。


ーー気持ち悪いかも〜!


嫌な過去が私を支配する。



「ん?どうかした?」

むりだ…。
いやだよ…。

この関係を壊したくないよ…。



「…いやっごめん、なんでもない。また明日ね…」


「そう?また明日ね!」