まだ私が小学3年生だった頃。

初めて理沙とクラスが別れてしまって友達の作り方がわからなかった私はクラスの隅の方でコソコソと小説を書いていた。

今思えば、正直、小説なんて言ったけど大したものではなくて。
児童書に似た会話ばかりのお話だった。


そんな私にクラスのいわゆるキラキラ女子たちが話しかけてきたことがあった。

『みゆうちゃん、なにしてるの?』

『え、しょ、小説をかいてるの…』

誰かにそのこと言うのは初めてでドキドキしていたのを今でも覚えてる。


『すごーい!みせてみせて!!』

キラキラ女子たちは声が大きいのが特徴。

だからだんだんと他の女子たちも寄ってきて、気がつくと私の周りはかつてないほど人が集まっていた。

当時の私はずっと一人だったからそれがとっても嬉しかった。

小説の内容はクラスの日常を描いたもの。
もちろん名前は違うし、ちょっぴり私の理想なんかも入っているけどだいたいはこのクラスであった事件とか出来事だった。

私にはお話を思いつくような才能はなかった。

だからクラスの日常を描いていたんだ。


でも、まさか、それが真正面から誰かに否定されるとは思いもしていなかった。


『なんかさ、この子わたしに似てない?』

ドキッとした。

『うんうん、わたしも思った!』

『この子も』

『たしかに!』


『え〜、ちょっと気持ち悪いかも〜!』


グサリと私の胸に突き刺さった言葉。


”気持ち悪い“


その言葉は成長した今でも私の胸の深くに刺さって抜けていない。