ーキーンコーンカーンコーン…

完全下校を告げるチャイムが学校中に響きわたる。


「美優(みゆう)!かーえろ!」

帰り支度を整えた私・中川美優のもとへタイミングよく現れた人物ににっこり笑って頷いた。

彼女は私の小さい頃からの幼なじみ、佐々木理沙(りさ)だ。



「今日もつっかれた〜」

帰路についた私たち。
私たちは家がお隣さんで毎日登下校は一緒なの。

理沙はため息混じりに肩の力を抜いた。


「ね〜、今日は朝会に体育に調理実習にいろいろあったし」

私もふぅとちょっぴり肩の力を抜く。


「あっ、調理実習といえば、長嶋くんと一緒の班だったじゃん!どうだったの?」


長嶋くんというのは私のクラスメイトで理沙の想い人。

理沙とは違うクラスなんだけど、調理実習は2組合同で行うから一緒の班になれるの。

去年からずっと好きなんだとか。


「あ、あぁ〜…そういえばそうだったね、うん」

なんだか反応が薄い。

好きな人と一緒の班になれたんだよ?
嬉しくなかったの?

私には好きな人とかいないからわかんないけど、理沙はそう思ったりしないのだろうか。