Mutter

「シスター、美幸さんを連れて来なさい」
「はい」
「美幸さんは今日から、高橋さんという家庭に引き取っていただく意向です。
しっかり支度をさしてあげますように」
「はいジェーン(寮母さん)」


「美佳ー美佳ー」
「お母さんー」
「ほら美佳、いつまでもベランダにいちゃダメよ。
風邪を引いちゃうじゃない。あら雨、珍しいわね。」

私は『魔女の宅急便』という映画が好きだ。でもお母さんはちょと不思議がる。
お母さんはいつも「私はトトロの方が好き」と言っている。
上に二人お兄ちゃんが居る。

お父さんは、お医者さんだ
何不自由無く、暖かな家庭。しかし
幼い頃の記憶、施設の寮母さん達、もっと幼い子供達の面倒をよく見ていた
4歳くらいの私
余り触れてはいけないのかな
お兄ちゃん達しかおそらく行ってはいないであろう、幼稚園の話をしようとすると、お母さんは少し悲しそうな顔になる。

そっと一番上のお兄ちゃんに聞いた。
「お母さんは、女の子が欲しかったらしい。妹を何だか流産ってやつ。あっ俺から聞いたって言うなよ」
「ふうん」