二人の子供が、テレビを観ていた。野球中継だった。
「いいかヒカリ、ここより不自由になるかも知れない」
「うんいいよ。それにツバサが兄さんの方がいいと思う」
「えっそう? 兄弟っぽく見える?」
「えっえー」
「しー大人達が来るよ」
「…」
「じゃあ」
「うん」
二人はその施設を、飛び出した
消息は、詳しくは捜査されなかった
「あのう僕ら困っているんです。」
「もう何日も食べていなくて」
「蒲田警察署なんだけどね。帰るお家、ある?」
「あのう僕ら」
「お腹空いた。大人を見たのは、初めてだよね」
ツバサがヒカリを、何となく突っついた。
「ちょっとどうしようか。あーえーと佐藤、婦警呼んで」
違う部屋に通された。女性警察官がパチパチと明かりを付ける。
「この辺で、殺人事件ありませんでした?」
ツバサが女性警官に逆に尋ねた。
「んー僕たちに関係あるのかにゃ?」
「僕とツバサは、その事件に巻き込まれた人の子供で」
「えっちょと待ってね」
ナイスッヒカリ。ツバサが小さく心でガッツポーズした
「刑事部長、今日」
「ああ、無い訳じゃないねそれ」
「どうします?」
「ああ一応預かり届けね。迷子だったらすぐ向こうから来るでしょ。あと…」
「えっ?」
「大きな声では言えないけどね、こういうのって、最悪施設なの。今のうちに、あやしておきなさい!」
「えっ可愛そう…」
「君、子供居る?」
「部長、セクハラです」
女性警官が何やらばたばたとしながら、僕らの所へ戻って来た
「私、女性警察官の伊東みゆきです。初めまして。みゆきお姉さんって呼んでいいからね。」
「はい」
「うん」
「君たち、年齢はいくつ?」
「5歳…だったかな覚えて無いや」
「たんじょう日は?」
「ツバサが秋で、僕が冬…だったかな」
「念のため聞くけど、お名前は?」
「僕はツバサ。名字は、覚えていません」
「ヒカリです。お母さんはえっとヒカリの国にいます」
「うーん」
うろたえた。
「何、していたのかな?」
「野球を、」
「電気屋さんのテレビで観て居ました」
「野球ね。」
二人は顔を見合わせて、うんとうなづいた。
「お家はどこにあるか、覚えてる?」
ツバサがヒカリの方を、見た。
「お墓です」
「ちょっと待ってよー」
みゆきは頭を抱え出した。
二人には、作戦が有った。
本当の事は一切口にし無い
ピンチになったら、記憶喪失のふり
「眠くなっちゃった」
「僕も。眠いや」
「そうね。5歳の子は、もう眠る時間ね。じゃあもう少しだけね。知り合いや近所で、名前を知っている人は?」
ダメかと思った。
「ローズおばあちゃん」
ヒカリがまた、とっぴな事を言った。
「まあいいや」
「刑事部長ー、部屋あります?」
遠くから、警察の服を着たおじさんが、『まる』のポーズをした。
ツバサとヒカリは、簡易ベッドのような物が並んだ部屋に通され、一つのお弁当を、みゆきが丁寧に二つに分けた物を食べた。
「これからどうする?」
「うまくいくかな。いざとなったら占い師! とか言う?」
「お前のいざは、危ういよ。それに遠足気分じゃ困るんだよ」
「あは」
「色仕掛けも禁止!」
コンコン。ドアのノック
「みゆきですけどー」
「どうぞ」
「体調は悪くない? これも一応決まりだから。あっお弁当のやつ、片付けちゃうね。」
「はあい」
ヒカリが布団をかぶってしまった。大人が見ている前で、ワガママはよせばいいのに
「みゆきが結婚できますように」
「今ヒカリがお祈りしたって」
「あちょー」
みゆきは、ツバサのちゃんばらごっこに付き合った。
「うわあ。やられたー」
「お姉さん、たりゃあ」
うおーそろそろ疲れろー
「部長、あの二人、多少様子が変ですよね。」
「伊東か。ああ思うよ」
「元気が良いのに、見すぼらしい。と言ったら悪いけれど」
「何か感じるね。」
「事件ですか?」
「うーんちょと違うんだけどね。あれだな。多分虐待紛い(まがい)」
「虐待紛い? でも、まがいって」
「うーん特有の、ちょと物々しい話になるけど。あの二人、おそらくマリファナ。」
「えっひょっとして匂い⁉︎」
「出て来るけど、出させないね。僕なら」
「ひー」
「伊東、君ならどうする? あれは重いよ多分。脅す訳じゃないけどね、君を。多分両親? が事件に巻き込まれた、というのも、気の利いた嘘。バックボーンは、宗教。オウムが最悪だな。」
部長の声が、ぴんと張り詰めた
「そんな、オウムなんて」
「お前は、人情以外にも身に付けろよな」
「はい。すみません」
「明日は、加藤とお前な。加藤は親戚に公明党が居るらしいからな。この話は今日まで。くれぐれも」
「はい、分かりました。お疲れ様です。」
「いいかヒカリ、ここより不自由になるかも知れない」
「うんいいよ。それにツバサが兄さんの方がいいと思う」
「えっそう? 兄弟っぽく見える?」
「えっえー」
「しー大人達が来るよ」
「…」
「じゃあ」
「うん」
二人はその施設を、飛び出した
消息は、詳しくは捜査されなかった
「あのう僕ら困っているんです。」
「もう何日も食べていなくて」
「蒲田警察署なんだけどね。帰るお家、ある?」
「あのう僕ら」
「お腹空いた。大人を見たのは、初めてだよね」
ツバサがヒカリを、何となく突っついた。
「ちょっとどうしようか。あーえーと佐藤、婦警呼んで」
違う部屋に通された。女性警察官がパチパチと明かりを付ける。
「この辺で、殺人事件ありませんでした?」
ツバサが女性警官に逆に尋ねた。
「んー僕たちに関係あるのかにゃ?」
「僕とツバサは、その事件に巻き込まれた人の子供で」
「えっちょと待ってね」
ナイスッヒカリ。ツバサが小さく心でガッツポーズした
「刑事部長、今日」
「ああ、無い訳じゃないねそれ」
「どうします?」
「ああ一応預かり届けね。迷子だったらすぐ向こうから来るでしょ。あと…」
「えっ?」
「大きな声では言えないけどね、こういうのって、最悪施設なの。今のうちに、あやしておきなさい!」
「えっ可愛そう…」
「君、子供居る?」
「部長、セクハラです」
女性警官が何やらばたばたとしながら、僕らの所へ戻って来た
「私、女性警察官の伊東みゆきです。初めまして。みゆきお姉さんって呼んでいいからね。」
「はい」
「うん」
「君たち、年齢はいくつ?」
「5歳…だったかな覚えて無いや」
「たんじょう日は?」
「ツバサが秋で、僕が冬…だったかな」
「念のため聞くけど、お名前は?」
「僕はツバサ。名字は、覚えていません」
「ヒカリです。お母さんはえっとヒカリの国にいます」
「うーん」
うろたえた。
「何、していたのかな?」
「野球を、」
「電気屋さんのテレビで観て居ました」
「野球ね。」
二人は顔を見合わせて、うんとうなづいた。
「お家はどこにあるか、覚えてる?」
ツバサがヒカリの方を、見た。
「お墓です」
「ちょっと待ってよー」
みゆきは頭を抱え出した。
二人には、作戦が有った。
本当の事は一切口にし無い
ピンチになったら、記憶喪失のふり
「眠くなっちゃった」
「僕も。眠いや」
「そうね。5歳の子は、もう眠る時間ね。じゃあもう少しだけね。知り合いや近所で、名前を知っている人は?」
ダメかと思った。
「ローズおばあちゃん」
ヒカリがまた、とっぴな事を言った。
「まあいいや」
「刑事部長ー、部屋あります?」
遠くから、警察の服を着たおじさんが、『まる』のポーズをした。
ツバサとヒカリは、簡易ベッドのような物が並んだ部屋に通され、一つのお弁当を、みゆきが丁寧に二つに分けた物を食べた。
「これからどうする?」
「うまくいくかな。いざとなったら占い師! とか言う?」
「お前のいざは、危ういよ。それに遠足気分じゃ困るんだよ」
「あは」
「色仕掛けも禁止!」
コンコン。ドアのノック
「みゆきですけどー」
「どうぞ」
「体調は悪くない? これも一応決まりだから。あっお弁当のやつ、片付けちゃうね。」
「はあい」
ヒカリが布団をかぶってしまった。大人が見ている前で、ワガママはよせばいいのに
「みゆきが結婚できますように」
「今ヒカリがお祈りしたって」
「あちょー」
みゆきは、ツバサのちゃんばらごっこに付き合った。
「うわあ。やられたー」
「お姉さん、たりゃあ」
うおーそろそろ疲れろー
「部長、あの二人、多少様子が変ですよね。」
「伊東か。ああ思うよ」
「元気が良いのに、見すぼらしい。と言ったら悪いけれど」
「何か感じるね。」
「事件ですか?」
「うーんちょと違うんだけどね。あれだな。多分虐待紛い(まがい)」
「虐待紛い? でも、まがいって」
「うーん特有の、ちょと物々しい話になるけど。あの二人、おそらくマリファナ。」
「えっひょっとして匂い⁉︎」
「出て来るけど、出させないね。僕なら」
「ひー」
「伊東、君ならどうする? あれは重いよ多分。脅す訳じゃないけどね、君を。多分両親? が事件に巻き込まれた、というのも、気の利いた嘘。バックボーンは、宗教。オウムが最悪だな。」
部長の声が、ぴんと張り詰めた
「そんな、オウムなんて」
「お前は、人情以外にも身に付けろよな」
「はい。すみません」
「明日は、加藤とお前な。加藤は親戚に公明党が居るらしいからな。この話は今日まで。くれぐれも」
「はい、分かりました。お疲れ様です。」



