あの頃が懐かしい。
触れるもの見るもの全てが輝いていて、バイトを始めるなんて言い出した時は両親も驚いてた。
「まぁ、みこが幸せならよかったよ」
頭をポンポンと撫でられる。
その表情を見ればまさに王子の美貌というべきか。
(これは、皆落ちる。まぁ、私は蓮くん一筋だけど)
静かに決心を決めている間にゆんちゃんは、クラスメイトに呼ばれどこか行ってしまった。
蓮くんのブロマイド思い出すだけで顔がにやけてしまう。
いけない、いけない。普通に普通にしないと。
ペチペチと頬を叩いて表情筋を整える。
冷静になろう。
そういえば、午前中にテストがあるんだったと思い出し、諸々必要な物を取り出して勉強に取り組む。
推し活とは別に勉強も大切にしなければ。
何も取り柄がない私が唯一できること。
小さい頃色々とやってきたけどどれも達成感も感じず、上手くいかなかった。
その度に両親は、新しい習い事を見つけてくれてそれに触れて見て感じて今まで過ごしてきたけどどれもだめだった。
この世には私の心を惹く物はないと思っていたのに、蓮くんだけはキラキラ輝いて見えた。
ダンスも歌もパフォーマンスもファンサも全部全部輝いていて、眩しかった。
この人に会うために私は生きてきたんだと思った瞬間。
そんな思い出に浸りながらも勉強をしていればチャイムが鳴った。