意識が戻ってきた。頭はまだぼんやりしている。まぶたを閉じたままでいると、頭をふわっと撫でられた感触がした。目を開けると、僕はふかふかなベッドの上で寝ていた。壁や家具は真っ白で広い部屋。多分、どこかの家の寝室か。
「ここは、どこなんだろ?」
「俺の家だけど。顔色一日中良くなかったけれど、大丈夫?」
呟きに答えたのは、僕の足の方にいた永瀬翔だった。
「はっ? なんで永瀬が……?」
「瞼の裏が白っぽかったから貧血かな?」
勝手に瞼の裏チェックまでしたのかよ。僕は慌てて起き上がると、急に頭を上げたからか、クラっとした。
「羽月が倒れたから、連れてきた……」
「いや、保健室で少し横になれば治ったから。余計なことを……」
「余計なことか……」
永瀬は視線を下に落とした。
連れてきたとか言ってるけど。家まで遠かったり、帰り道が全く知らない道だったらと思うと、色々と面倒くさい。制服のポケットに手を入れるとスマホを出した。時間を確認すると、もう十七時。
どうやら意識を失っている間に時間が経っていたらしい。
慌てて立ち上がると窓から外を覗いた。ここは結構上の階の部屋らしい。そしてなんと、見下ろすと通っている高校が見えた。
――永瀬の家、学校から近かったんだ。
「ほっとけば良かった、のか……?」と永瀬は眉じりを下げ低い声で呟く。
「別に頼んだわけじゃないし、帰る」
僕は勢いよく机の上に置いてあった自分の鞄を持とうとした。勢いよすぎて持つ部分から手を離してしまい鞄を床に落としてしまった。逆さまになった鞄。持つと急いで外に出ようとした。玄関へ向かう途中に通った部屋の中から「もう帰るの?」と声がする。声が聞こえた部屋を覗くと桜塚たちがいた。部屋の中にカメラやパソコンが置いてある。ここは撮影部屋なのか。
「今から撮るけど、映らない?」
「いや、絶対に映らないし」
桜塚の誘いを速攻で断る。早歩きで部屋を通り過ぎ、外に出た。
永瀬の住んでいるマンションを見上げる。大きくて黒い綺麗な建物。そして大きな庭まである。豪華で高そうなマンションだなと学校に行く時、通るたびにそう思っていた建物だった。前を向き、学校の駐輪場まで走った。永瀬翔は住んでいる場所までも格好良い。永瀬翔のそんなところを見つけるたびにムッとなる。
「ここは、どこなんだろ?」
「俺の家だけど。顔色一日中良くなかったけれど、大丈夫?」
呟きに答えたのは、僕の足の方にいた永瀬翔だった。
「はっ? なんで永瀬が……?」
「瞼の裏が白っぽかったから貧血かな?」
勝手に瞼の裏チェックまでしたのかよ。僕は慌てて起き上がると、急に頭を上げたからか、クラっとした。
「羽月が倒れたから、連れてきた……」
「いや、保健室で少し横になれば治ったから。余計なことを……」
「余計なことか……」
永瀬は視線を下に落とした。
連れてきたとか言ってるけど。家まで遠かったり、帰り道が全く知らない道だったらと思うと、色々と面倒くさい。制服のポケットに手を入れるとスマホを出した。時間を確認すると、もう十七時。
どうやら意識を失っている間に時間が経っていたらしい。
慌てて立ち上がると窓から外を覗いた。ここは結構上の階の部屋らしい。そしてなんと、見下ろすと通っている高校が見えた。
――永瀬の家、学校から近かったんだ。
「ほっとけば良かった、のか……?」と永瀬は眉じりを下げ低い声で呟く。
「別に頼んだわけじゃないし、帰る」
僕は勢いよく机の上に置いてあった自分の鞄を持とうとした。勢いよすぎて持つ部分から手を離してしまい鞄を床に落としてしまった。逆さまになった鞄。持つと急いで外に出ようとした。玄関へ向かう途中に通った部屋の中から「もう帰るの?」と声がする。声が聞こえた部屋を覗くと桜塚たちがいた。部屋の中にカメラやパソコンが置いてある。ここは撮影部屋なのか。
「今から撮るけど、映らない?」
「いや、絶対に映らないし」
桜塚の誘いを速攻で断る。早歩きで部屋を通り過ぎ、外に出た。
永瀬の住んでいるマンションを見上げる。大きくて黒い綺麗な建物。そして大きな庭まである。豪華で高そうなマンションだなと学校に行く時、通るたびにそう思っていた建物だった。前を向き、学校の駐輪場まで走った。永瀬翔は住んでいる場所までも格好良い。永瀬翔のそんなところを見つけるたびにムッとなる。



