自分が出ると決まったから、家で桜塚たちの動画を一応確認した。適当にいくつかスマホで動画を流した後、永瀬がひとりでアップしてる動画も観た。
『今日は、自転車で散歩をします』
選んだのは、ひとりでサイクリングコースを自転車で走り、途中カフェで休憩しながら、芸能についてのんびり話している動画。実は永瀬の方の動画を観るのは初めてではない。妹たちがリビングのテレビで動画をしつこいくらいに観ているからだ。嫌でもテレビの中の永瀬が目に入ってしまう。
桜塚と山田もカッコイイランクは上の方だと思う。だけど正直、本人には絶対に伝えられないが、永瀬は比べ物にならないほどカッコイイと思う。
絶対、本当に本人には伝えられないが。
悔しいし――。
*
そして撮影をする日曜日。朝からなぜか永瀬とふたりきりでショッピングモールの中にいる。なぜこんなふうになったのかと言うと、朝の六時、まだ僕が寝ていた時間に誘いの連絡が来たからだ。一瞬スマホのピロン音で目覚めたけれど二度寝して九時に再び起きてから確認した。まだ眠たいのはちょうど永瀬が新作の徒歩散歩動画をアップしていて、夜中に観て眠る時間が遅くなってしまったからだ。
『今日の昼ご飯の材料と、あと手芸の材料選んでほしいんだけど付き合ってくれるかな? 荷物が多くて抱えきれなくて……』
『いやだ』と返事をしたかったが、手芸の材料も買うのか……仕方ないので付き合ってあげることにした。荷物が多くてと言っていたが、永瀬の兄が運転する車で僕の家前まで迎えに来た。兄に荷物持ち手伝ってもらえばいいのにと思いながら乗車した。
そして今は食品売り場にいる。そしてちょっとイライラしていた。
「どうして半額の肉を選ばないんだよ」
「いや、別に値段にこだわらないし」
「七百二十円の半分は三百六十円だぞ。その分、別の物を買える!」
「うん、分かる」
「分かってない!」
僕は声を荒らげてしまい、他の客からの注目を浴びてしまった。
『今日は、自転車で散歩をします』
選んだのは、ひとりでサイクリングコースを自転車で走り、途中カフェで休憩しながら、芸能についてのんびり話している動画。実は永瀬の方の動画を観るのは初めてではない。妹たちがリビングのテレビで動画をしつこいくらいに観ているからだ。嫌でもテレビの中の永瀬が目に入ってしまう。
桜塚と山田もカッコイイランクは上の方だと思う。だけど正直、本人には絶対に伝えられないが、永瀬は比べ物にならないほどカッコイイと思う。
絶対、本当に本人には伝えられないが。
悔しいし――。
*
そして撮影をする日曜日。朝からなぜか永瀬とふたりきりでショッピングモールの中にいる。なぜこんなふうになったのかと言うと、朝の六時、まだ僕が寝ていた時間に誘いの連絡が来たからだ。一瞬スマホのピロン音で目覚めたけれど二度寝して九時に再び起きてから確認した。まだ眠たいのはちょうど永瀬が新作の徒歩散歩動画をアップしていて、夜中に観て眠る時間が遅くなってしまったからだ。
『今日の昼ご飯の材料と、あと手芸の材料選んでほしいんだけど付き合ってくれるかな? 荷物が多くて抱えきれなくて……』
『いやだ』と返事をしたかったが、手芸の材料も買うのか……仕方ないので付き合ってあげることにした。荷物が多くてと言っていたが、永瀬の兄が運転する車で僕の家前まで迎えに来た。兄に荷物持ち手伝ってもらえばいいのにと思いながら乗車した。
そして今は食品売り場にいる。そしてちょっとイライラしていた。
「どうして半額の肉を選ばないんだよ」
「いや、別に値段にこだわらないし」
「七百二十円の半分は三百六十円だぞ。その分、別の物を買える!」
「うん、分かる」
「分かってない!」
僕は声を荒らげてしまい、他の客からの注目を浴びてしまった。



