「羽月優心(はづきゆうしん)さま、俺らと一緒に、動画配信しませんか?」
「だから、いやだってば」
はらはらと桜が舞う季節の北の大地。僕と同じ二年三組のヤンキー桜塚とメガネの山田が放課後、校舎裏でじりじりと迫ってきた。じっとりとした視線に苛立ちながら、僕は一歩後ずさる。
「何回も断られてんだからしつこくするなよ。このままふたりで動画配信やり続けなよ」
ふたりの後ろでそう言ったのは、同じく二年三組のイケメン永瀬翔(ながせかける)だ。容姿端麗で頭も良くて運動神経も抜群な男。ネットを中心にアイドル的な活動をし、北の大地で撮影される映画や雑誌にもよく出演している。とある理由で憎き男だ。今もアイドルの微笑みを保ちながらこの場にいるが、きっとこいつは性格が悪い。悪いはずだ。完璧なやつなんているはずがない。今の発言も、何度も断る僕と関わるのがもう面倒くさいから、そう言ったに違いない。
「だって、ほんの一瞬映っただけなのに優心さまのことが話題になったんだぜ。それに『今年中にチャンネル登録一万いかないと解散します』ってこないだ勢いで言っちゃったし……だからお願いします!」と、ヤンキー桜塚が言った。
いつの間にか自分が動画に映っていて「このエンジェルは誰?」と、僕のことが話題になったらしい。ユーザー数を増やすために、こいつらは僕を利用しようとしている。
そんな事情は僕には関係ないし、知らない。なんて思っていたのに――。
***
「だから、いやだってば」
はらはらと桜が舞う季節の北の大地。僕と同じ二年三組のヤンキー桜塚とメガネの山田が放課後、校舎裏でじりじりと迫ってきた。じっとりとした視線に苛立ちながら、僕は一歩後ずさる。
「何回も断られてんだからしつこくするなよ。このままふたりで動画配信やり続けなよ」
ふたりの後ろでそう言ったのは、同じく二年三組のイケメン永瀬翔(ながせかける)だ。容姿端麗で頭も良くて運動神経も抜群な男。ネットを中心にアイドル的な活動をし、北の大地で撮影される映画や雑誌にもよく出演している。とある理由で憎き男だ。今もアイドルの微笑みを保ちながらこの場にいるが、きっとこいつは性格が悪い。悪いはずだ。完璧なやつなんているはずがない。今の発言も、何度も断る僕と関わるのがもう面倒くさいから、そう言ったに違いない。
「だって、ほんの一瞬映っただけなのに優心さまのことが話題になったんだぜ。それに『今年中にチャンネル登録一万いかないと解散します』ってこないだ勢いで言っちゃったし……だからお願いします!」と、ヤンキー桜塚が言った。
いつの間にか自分が動画に映っていて「このエンジェルは誰?」と、僕のことが話題になったらしい。ユーザー数を増やすために、こいつらは僕を利用しようとしている。
そんな事情は僕には関係ないし、知らない。なんて思っていたのに――。
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