表彰式が終わりスタンドの観客は影一つなかった。
ベンチでは優人と翔輝が座って余韻に浸っていた。
球場内は静寂に包まれ、遠くでは蝉の声が微かに聞こえる。
「おれ、なんか心が満たされないんだよね……もちろん、優勝はすごい嬉しいけど、なんか、心の中にぽっかり穴が空いてるっていうか……」
優人は薄暗い表情だった。
「……なんか分かる気ぃするわ……ほんまは、あそこでおれが決勝打を打ちたかったんやけどな……」
翔輝は冗談混じりに本音を溢す。
「……インタビューでさ、後輩について言ったじゃん?おれ、ずっとその子を探してるんだよね……」
優人はボソッとつぶやく。
「へぇ、ひろとでも恋するんや……興味無いとか言っとったクセにな……」
翔輝は不思議そうに言う。
優人は「まぁね」と人差し指で耳たぶを掻いた。
「おーい、そろそろ学校戻るぞー!」
ベンチ裏から監督が声をかける。
優人と翔輝は「はいっ」と返事し立ち上がる。
グラウンドに背を向け歩き出す。
「ナイスバッティング!」
優人はグラウンドの方から声が聞こえたように感じる。
聴き慣れた声、そして、ずっと探し求めていた声。
中学校の頃が脳裏にフラッシュバックする。
「……ゆい、ちゃん……?」
優人はグラウンドを振り返る。
球場内を見渡すがどこにも人影はなかった。
「……なんだ、空耳か……」
優人は軽く笑う。
「おい、ひろ!いくで。誰か居てるんか?」
翔輝は優人に声をかける。
優人は「おう」と返事をして球場を後にした。
優人は名残惜しく振り返った景色に、まだ何か残っているような気がしていた。
ベンチでは優人と翔輝が座って余韻に浸っていた。
球場内は静寂に包まれ、遠くでは蝉の声が微かに聞こえる。
「おれ、なんか心が満たされないんだよね……もちろん、優勝はすごい嬉しいけど、なんか、心の中にぽっかり穴が空いてるっていうか……」
優人は薄暗い表情だった。
「……なんか分かる気ぃするわ……ほんまは、あそこでおれが決勝打を打ちたかったんやけどな……」
翔輝は冗談混じりに本音を溢す。
「……インタビューでさ、後輩について言ったじゃん?おれ、ずっとその子を探してるんだよね……」
優人はボソッとつぶやく。
「へぇ、ひろとでも恋するんや……興味無いとか言っとったクセにな……」
翔輝は不思議そうに言う。
優人は「まぁね」と人差し指で耳たぶを掻いた。
「おーい、そろそろ学校戻るぞー!」
ベンチ裏から監督が声をかける。
優人と翔輝は「はいっ」と返事し立ち上がる。
グラウンドに背を向け歩き出す。
「ナイスバッティング!」
優人はグラウンドの方から声が聞こえたように感じる。
聴き慣れた声、そして、ずっと探し求めていた声。
中学校の頃が脳裏にフラッシュバックする。
「……ゆい、ちゃん……?」
優人はグラウンドを振り返る。
球場内を見渡すがどこにも人影はなかった。
「……なんだ、空耳か……」
優人は軽く笑う。
「おい、ひろ!いくで。誰か居てるんか?」
翔輝は優人に声をかける。
優人は「おう」と返事をして球場を後にした。
優人は名残惜しく振り返った景色に、まだ何か残っているような気がしていた。
