求愛過多な王子と睡眠不足な眠り姫

「早く帰りたい。ミントの部屋に泊まって、朝食はプリサブジを食べたいな」
「もう失礼でしょ! 2次会もあってビンゴの景品が豪華だって聞いたよ」
「ちなみに1等は?」
「テーマパークのペアチケット! 眠り姫のアトラクション、行ってみたかったんだ」

 圭吾は退屈を示す。ただし、わたしにだけ伝える機微で。彼はわたしの前だと笑顔で感情を潰すのは止めた。

「ペアチケット、ね。ミントが行きたいなら貸し切りにしてあげる。早く帰って寝よう、寝不足だろ?」
「……誰のせいで寝不足になっていると。それと」
「はいはい、御曹司ジョークはやめろ、でしょ? よもや営業部に残ってバリバリ実績残すとはねぇー勤勉な恋人を持つと大変だ」

 朝岡家の後継者であることを妙に隠さなくなった。

「わたしはお父様に顔をあげて報告したいの」

 語りつつ親族側の席へ視線をやる。新郎新婦を見守り、晴れの舞台に目を細めている。わたし達も両親にあんな顔をさせたい。

「君との結婚を反対させる気ないけど?」

 圭吾はワインのお代わりを貰い、グラスを回して香りから味わう。

「ん?」

 わたしの視線に気付き、蕩けた笑顔を浮かべる。その顔じゃ店長の事を言えやしないのに。

「顔をあげて、真っ直ぐ前を見て、圭吾と結婚させて下さいって言いたい」