求愛過多な王子と睡眠不足な眠り姫



「……」
「……」

 わたし達は並んで天井を見上げている。

「すいませんでした」
「なんで謝る?」
「無理やりは趣味じゃないとおっしゃっていたので」
「いや、どう見ても100%合意の上だろう? あと敬語やめて」
「オーロラベッド、買ったんだね」
「寝心地どう? なかなかいいでしょ?」

 恭吾の寝室にはわたしが欲しかった寝具が揃っていた。こんな形で使用感を味わうとは考えてもいなかったけれど。

「大きなベッドは必要ないって言ってたくせに」
「あはは、寂しかったんだよ。ミントと一緒に眠る夢を見たくて買ってみた」
「寂しいとか言うキャラだったっけ?」

 片腕で表情を隠す。素肌とシーツが擦れる音が嵐のような行為を脳裏に蘇らせる。
(今更、取り繕ってもしょうがない、か)
 彼とひとつになりたかった。離れていた期間を埋めたかった。その欲求を否定しない。

「照れてる?」

 頬をツンッとつついてきた。

「照れてないし」
「ミント、可愛い。すごく良かったよ」
「そういう言い方、やめて!」
「やっぱり照れてるんだ?」
「照れてないってーー」