「怒るぞ、川口」
「ーーっ、私には怒るって不公平じゃないですか!」
川口が身体を起こしたので茨を膝上に寝かす。どちらかを黙らせておかないと面倒になる。
背中をとんとん撫でてやれば、茨はすぐさま眠りへ落ちていく。
「うわっ、膝枕!」
「……ミントちゃん、可愛いでしょ?」
「しかも名前呼び! いいんですか?」
「良いも悪いもない。川口は教育係をやってまで知りたかったんだろう?」
信じられないものを見たとばかり、川口は残っていた酒を煽った。
「いつから? 私が告白した前? 後?」
「付き合ってはないんだ。今は片想いしている」
「片想いって」
「僕は川口が思っているような男じゃない。退職前に職権乱用して彼女を直属の部下にした。公私混同極まりでしょ? やめとけ、こんな男。川口に相応しくない」
「繰り返しますが、いいんですか? 会社に暴露しますよ?」
「それで気が済むなら構わない」
「部長は退職するからいいでしょうが、茨さんは? 会社に残る茨さんがどんな目で見られるのか考えました?」
「ーーミントを連れて出ていきたい」
川口から想いを告げられた際、上司と部下の関係を盾にして一切受け入れなかった。すると僕と同じ役職を目指すマインドへ切り替え、営業部員としてかなり頼もしい存在にまで成長する。
「どうして私じゃダメなんですか? 私ならお役に立てます! 茨さんは部長の隣に立つのが怖いそうですよ?」
キャリアアップに意欲的な女性、それが僕の理想とするパートナー像。父から受け継ぐ会社をより繁栄させていける相手を探していた。
「ーーっ、私には怒るって不公平じゃないですか!」
川口が身体を起こしたので茨を膝上に寝かす。どちらかを黙らせておかないと面倒になる。
背中をとんとん撫でてやれば、茨はすぐさま眠りへ落ちていく。
「うわっ、膝枕!」
「……ミントちゃん、可愛いでしょ?」
「しかも名前呼び! いいんですか?」
「良いも悪いもない。川口は教育係をやってまで知りたかったんだろう?」
信じられないものを見たとばかり、川口は残っていた酒を煽った。
「いつから? 私が告白した前? 後?」
「付き合ってはないんだ。今は片想いしている」
「片想いって」
「僕は川口が思っているような男じゃない。退職前に職権乱用して彼女を直属の部下にした。公私混同極まりでしょ? やめとけ、こんな男。川口に相応しくない」
「繰り返しますが、いいんですか? 会社に暴露しますよ?」
「それで気が済むなら構わない」
「部長は退職するからいいでしょうが、茨さんは? 会社に残る茨さんがどんな目で見られるのか考えました?」
「ーーミントを連れて出ていきたい」
川口から想いを告げられた際、上司と部下の関係を盾にして一切受け入れなかった。すると僕と同じ役職を目指すマインドへ切り替え、営業部員としてかなり頼もしい存在にまで成長する。
「どうして私じゃダメなんですか? 私ならお役に立てます! 茨さんは部長の隣に立つのが怖いそうですよ?」
キャリアアップに意欲的な女性、それが僕の理想とするパートナー像。父から受け継ぐ会社をより繁栄させていける相手を探していた。

