『中途半端』一番嫌いな言葉を投げかけられ、眉間を揉む。とりあえず牽制として咳払いをしておく。
「ともあれ彼女の佇まいを指摘してくれて助かった。女性には言い難くて」
「礼には及びません。思ったままを述べたまで。ついでに申し上げますと、茨さんは営業に向いていると感じませんでした」
「そう」
「部下の身なりを注意できないのであれば、あなたも彼女の『上司』に向いていませんが」
「あっそ」
「彼女を一緒に連れて行く算段でしょう? 褒められた退職計画ではありませんが、総務部の茨さんならば新天地でも即戦力ですね」
容赦なく図星をつかれ、襟足を掻く。
「嫌な役回りをさせて悪かったよ」
「ですから思ったままを述べたまで。気分を全く害してないかと言えばそうでもないですが、これのお返しと餞別です」
指輪をはめた手で今度はご祝儀袋を掲げる。
「挙式は来月で朝岡部長にも参列して頂きたいと考えていました。ですが、あなたも新しい環境下でお忙しいでしょうから」
「⋯⋯見損なうなって。友人の結婚式には出る」
「それなら招待状をお出ししても?」
「うん、いいよ」
手を出す。どうせ用意してあるのだろう。
「ん? どうした?」
なかなか渡されないので傾げた。
「ともあれ彼女の佇まいを指摘してくれて助かった。女性には言い難くて」
「礼には及びません。思ったままを述べたまで。ついでに申し上げますと、茨さんは営業に向いていると感じませんでした」
「そう」
「部下の身なりを注意できないのであれば、あなたも彼女の『上司』に向いていませんが」
「あっそ」
「彼女を一緒に連れて行く算段でしょう? 褒められた退職計画ではありませんが、総務部の茨さんならば新天地でも即戦力ですね」
容赦なく図星をつかれ、襟足を掻く。
「嫌な役回りをさせて悪かったよ」
「ですから思ったままを述べたまで。気分を全く害してないかと言えばそうでもないですが、これのお返しと餞別です」
指輪をはめた手で今度はご祝儀袋を掲げる。
「挙式は来月で朝岡部長にも参列して頂きたいと考えていました。ですが、あなたも新しい環境下でお忙しいでしょうから」
「⋯⋯見損なうなって。友人の結婚式には出る」
「それなら招待状をお出ししても?」
「うん、いいよ」
手を出す。どうせ用意してあるのだろう。
「ん? どうした?」
なかなか渡されないので傾げた。

