わたしの顔が赤く染まるより早く、追加の言葉を添えられる。
「スポンサーならばいるでしょう?」
知らないうちにベッドへ寝転ぶ部長を示す。手足が収まりきらずスタイルの良さを無駄に証明している。
「⋯⋯我が社では上司が部下の身なりを整える義務でもあるのですか?」
「いえ、ありません。ですが恋人を着飾る権利ならあるかと。あちらの方はあなたの為ならば財布の紐でバンジージャンプしますよ」
「は?」
「あなたは朝岡部長の恋人ではないのですか? そう聞いてますが、違うのですか?」
挑発されて頭へ血がのぼる。よせばいいのに部長を叩き起こす。
「デタラメを吹聴しないで下さい!」
「デタラメ?」
「とぼけないで下さい! 店長の発言、聞こえてましたよね?」
「聞こえたよ。君、カマをかけられたんだ」
トレンチコートの襟を掴み上下に揺らすも謝罪はおろか、微塵の反省もこぼれてこない。
「こうして部長である僕へ乗っかかり、それもベッドの上で。はは、自分で認めちゃってるんだってば」
スイカを8等分した笑顔が類は友を呼ぶ説まで証明する。
わたしは恐る恐る、振り向く。
「婚礼家具としてオーロラベッドを購入するのはどうでしょうか?」
店長は両手を擦り合わせ、商談のポーズを取っていた。
「朝岡部長が部下を店に連れてくるなんて珍しいと思ったんです、しかもこの時期に」
「うん。桜も咲き始め、花見するのにいい頃合いだろ?」
わたしの頭をポンポン撫でて、部長はベッドから降りる。
店長が花見の話をしているんじゃないのは明らかだ。わざとはぐらかす。
「スポンサーならばいるでしょう?」
知らないうちにベッドへ寝転ぶ部長を示す。手足が収まりきらずスタイルの良さを無駄に証明している。
「⋯⋯我が社では上司が部下の身なりを整える義務でもあるのですか?」
「いえ、ありません。ですが恋人を着飾る権利ならあるかと。あちらの方はあなたの為ならば財布の紐でバンジージャンプしますよ」
「は?」
「あなたは朝岡部長の恋人ではないのですか? そう聞いてますが、違うのですか?」
挑発されて頭へ血がのぼる。よせばいいのに部長を叩き起こす。
「デタラメを吹聴しないで下さい!」
「デタラメ?」
「とぼけないで下さい! 店長の発言、聞こえてましたよね?」
「聞こえたよ。君、カマをかけられたんだ」
トレンチコートの襟を掴み上下に揺らすも謝罪はおろか、微塵の反省もこぼれてこない。
「こうして部長である僕へ乗っかかり、それもベッドの上で。はは、自分で認めちゃってるんだってば」
スイカを8等分した笑顔が類は友を呼ぶ説まで証明する。
わたしは恐る恐る、振り向く。
「婚礼家具としてオーロラベッドを購入するのはどうでしょうか?」
店長は両手を擦り合わせ、商談のポーズを取っていた。
「朝岡部長が部下を店に連れてくるなんて珍しいと思ったんです、しかもこの時期に」
「うん。桜も咲き始め、花見するのにいい頃合いだろ?」
わたしの頭をポンポン撫でて、部長はベッドから降りる。
店長が花見の話をしているんじゃないのは明らかだ。わざとはぐらかす。

