「彼女と間違われちゃったね。僕ら、お似合いなのかな?」
わたしの到着を待って、エレベーターの行き先ボタンが押される。チンッとドアが開き、部長は恭しくエスコートのポーズをとった。
その手には乗らない、エレベーターは乗るけれど。先に乗り込もうとすれ違う際、言ってやる。
「つり合うはずないじゃないですか? あなたは部長で御曹司、わたしは平社員で一般家庭育ちですよ」
「おや、ハイスペック彼氏は嫌いかい? 玉の輿だぞ」
響いた様子はなく、ひょうひょうと応じる。
「好き嫌いの話じゃありません。わたしは身の丈に合った暮らしをしたいです。朝からプリサブジが並べられるテーブルより白米と納豆がいい」
「プリサブジはインドの家庭料理なんだがな。まぁいい、茨が和食がいいと言うなら合わせる。お味噌も追加しよう!」
「訂正します。あなたのそういうところが嫌いです」
ドアが閉まり、会話も閉じたーーと思いきや、こじ開けられる。
「僕は君が好きだよ、ずっと好きだった」
わたしの到着を待って、エレベーターの行き先ボタンが押される。チンッとドアが開き、部長は恭しくエスコートのポーズをとった。
その手には乗らない、エレベーターは乗るけれど。先に乗り込もうとすれ違う際、言ってやる。
「つり合うはずないじゃないですか? あなたは部長で御曹司、わたしは平社員で一般家庭育ちですよ」
「おや、ハイスペック彼氏は嫌いかい? 玉の輿だぞ」
響いた様子はなく、ひょうひょうと応じる。
「好き嫌いの話じゃありません。わたしは身の丈に合った暮らしをしたいです。朝からプリサブジが並べられるテーブルより白米と納豆がいい」
「プリサブジはインドの家庭料理なんだがな。まぁいい、茨が和食がいいと言うなら合わせる。お味噌も追加しよう!」
「訂正します。あなたのそういうところが嫌いです」
ドアが閉まり、会話も閉じたーーと思いきや、こじ開けられる。
「僕は君が好きだよ、ずっと好きだった」

