ふう、、、

体育館の入り口前で、気持ちを落ち着かせる

やっぱりマネージャーやめておきます。
自分から言い出したのに、本当にすみません。

何回か心の中で予行練習をした。

よし、言おう。

体育館に入ろうと一歩踏み出した時、扉の向こうから突然昌先輩の声が聞こえた。

『はぁ!?試合に出れない!?膝の靭帯治りかけてきたから、間に合うって言ってただろ?大事な予選だぞ!?』

『ごめん。また少し悪化してしまって、医者に止められたんだ。』

『チームに蒼也は必要だし、お前だって本気で出たがってただろ!?体休めて無理するなって俺言ったのに、何で悪化したんだよ!』

『ごめん、昌。』

『ごめんだけじゃ分かんねえよ!』

扉かを開こうと伸ばした手が止まる

瞬間で気づいてしまった。

どうしよう。

あの時だ。

ボールから私を庇ってくれた時、先輩は反射的に無理な体勢を取ったんだ。

思い返せば、一瞬辛そうな顔をしてた。

絶対、私のせいだ。

『おい、蒼也!!』

体育館から出てきた蒼也先輩と鉢合わせてしまった。

『あ、菜乃ちゃん、、、、。今日も来てくれたんだね、ありがとう。』

「あの、、、。」

「あの、怪我って私のせいですよね、、、?あの時、、、」

『違うよ。僕の不注意だ。
菜乃ちゃんは何の関係もない。本当だよ。』

私の言葉をかき消すようにそう言って、先輩は私の頭にポンポンと優しく手をのせた。

『蒼也お前、、、。』

”あの時に悪化したのか”

その言葉を、昌先輩も私のために飲み込んでいるようだった。

『菜乃ちゃん、あそこに3年のマネージャーの先輩いるから、色々教えて貰ってね。』

悲しい顔をしてるのに、先輩は優しく私に微笑んだ。