4月、新しい生活と環境に期待を膨らませながら正門に立つ。

遅咲きの桜が入学を祝ってくれているように感じた。

「ここが今日から通う高校かぁ、、、」

新しい制服、新しいバック。

履きなれないローファーでさえも、大人に近づいた気がして嬉しかった。

高校生活、素敵なことが待ってますように、、、

そんな気持ちと、少しの不安が入り交じる。

風に桜の花びらが舞って、私はすうっと息を吸い込んだ。


あぁ、


これが春の匂いだ。


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『テニス部でーす!体験入部してます!初心者さん大歓迎でーす!』

『陸上部はマネージャーとプレイヤーどちらも募集中です!どうですかー!』

正門から校舎までの道に、各部活の先輩が看板を持ちながら花道を作っていた。

ここに足を踏み入れたら、一瞬で揉みくちゃにされそうだ。

菜乃(なの)ー!お待たせー!!」

「あ!朝美(あさみ)ちゃん!」

朝美ちゃんは、1番と言っても過言ではないくらい、私の事を理解してくれてる。
中学からの大切な友達。

「うーわー、、、なにこれ、部活勧誘?
数多すぎて新入生ビビるっての。」

「朝美ちゃんが来てくれて良かった。メッセージ返ってこないから、また寝坊してるのかと思った。」

「寝坊したことまでは合ってるけど、何とか間に合った!さ、ここ突破してしまおう!」

「うん!」