体育館をあとにする蒼也先輩の背中を見て、しばらくそこから動けずにいた。

何となく、先輩を1人にしてはいけないような気がして。

でも、こんな関係の浅い私が追いかけても、意味が無い。

そう考える前に、既に私は走って蒼也先輩を追いかけていた。

まだ学校に慣れていなくて、先輩がどこに向かったのかも分からない。

高校は旧棟と新棟が繋がっていて、新入生の私には迷路みたいだった。

中庭にさしかかったとき、蒼也先輩を見つけて、
それと同時に胸が締め付けられた。

だって、そこには

蒼也先輩と、

蒼也先輩を抱きしめる、知らない女の人がいたから。