休憩中も、紺は咲夜が言っていたことを考えていた。

カフェラテも一口飲んだきり、ずっとストローを指先で回し続けている。

「紺、頭休まないとキラみたいにパンクしちゃうよ」

見かねたシローが言った。

そのやりとりに、クッキーを頬張っていたキラが食いつく。

「どうした紺? なんか悩んでんのか」

「キラは飲み込んでからしゃべって。
それに、正直いまの紺に勉強教えてもあんまり意味ないと思うんだけど」

シローの言葉に、紺は机スレスレまで頭を下げた。

「……ごめん。せっかく時間作ってくれてるのに、集中してなくて」
 

「それは全然いいんだよ」


シローは笑って首を振る。 


「たださ、悩んでるならちょっとくらい頼ってくれてもいいのになって。ね、キラ?」
  

横目でキラを見るシロー。


「そうそう! 友達なんだから頼れって」
クッキーのかけらを口に入れたまま、キラが言う。


「クッキー食べながらじゃなかったら、いいこと言ってるんだけどな」

シローは思わず吹き出した。


少しだけ空気がやわらいだところで、紺が顔を上げた。


「あのさ、シロー。一緒に調べてほしいことがあるんだけど」


「なーに?」


シローの声が、ほんの少し嬉しそうに弾んだ。


「え、紺、俺は?」


キラがムッとした顔で口を尖らせる。


「キラはまず、そのクッキー飲み込もうね」


シローも紺も、そんなキラに思わず笑ってしまった。