今夜0時、輝く桜の木の下で

咲夜は顔を隠すように、その場にうずくまり座り込んだ。



泣いている音がしないように、慎重に呼吸をする。



紺は咲夜に向き合うようにまわりこんでしゃがんだ。



少しの間、何も言わなかった。



咲夜の肩が、小さく上下している。



「咲夜さん、返事しなくていいから聞いて」



咲夜は息を止めたかのようにかたまった。



顔を覆っていた手に、力が入る。



「俺今、咲夜さんが何考えてるかすごく知りたい」 



紺はゆっくりと続ける。



「でも、咲夜さんが俺に教えるの嫌なら知りたくない。咲夜さんに嫌なことして欲しくない」




それから紺は言葉を探した。




「これって、心配してるんじゃないと思う。なんか、心配ってのはしっくりこなくて…」





そして、みつけた。







「俺、咲夜さんのこと好き」







その言葉に、咲夜は少しだけ顔をあげ、手の隙間から紺を見つめた。



紺はそのまま咲夜を見ている。



「だから、知りたいんだよね。なんでも。」



咲夜は何も言わない。



少しの沈黙が続く。



それから紺は首を傾け、咲夜の顔を覗き込んで口を開いた。




「咲夜さん、どうしたら笑ってくれる?俺、なんかできないかな」




紺の声は、言葉は、正直だった。