今夜0時、輝く桜の木の下で

自分が夜光症だとわかったとき、私はほっとしていた。

結構な病気だし、普通だったらショックなんだろうけど…病気という診断を無意識に望んでいたんだと思う。

だって、病気じゃなきゃおかしいもん。

いじめられてるわけでもないのに、学校に、教室にいて苦しいなんてありえないから。

たまたま耳に入ってきた確証のない悪口だったり、無視だったり、気のせいかもしれないし。

直接攻撃されたわけじゃないのに、また聞こえるかもしれない言葉が、クラスの子の視線が怖いのは…必要な用事で話しかけるのが怖いのは…プリントを後ろに回すのが怖いのは私が自意識過剰なんじゃなくて病気で弱ってるからで…

いや、これは流石に無理あるな。

クラスの子が私のこと嫌いなのは事実で

だから私は教室にいたくなくて

でも、いじめじゃないから教室にいなきゃいけなくて

いじめじゃないけど私は苦しくて

そんな時期に病気になって

教室に行かなくて良くなって

だからほっとしたんだ

夜しか外に出れないし

そこがみんなと違うから

ひとりぼっちなのは当たり前で

私がひとりなのは病気だからでって

思いたかったんだと思う

病気じゃなくたってひとりなのにね

ひとりぼっちという事実をほとんど受け入れていた頃に紺くん、シローくん、キラくんと仲良くなったんだっけ


キラくんはいっつも元気で素直で話してるとこっちまで元気になる。

たぶん、隠し事も嘘もできない人だからすっごく話しやすい。

勉強会だって結果はどうあれものすごく一生懸命で、苦手なことに向き合える強さだってある。



シローくんは本当に賢い人なんだと思う。
勉強ができる人じゃなくて賢い人。

気配りもできる。

隠し事をしても見透かされちゃうんだろうなってくらい人をちゃんと見てて理解してる。

年下とは思えないくらい大人びてたから、紺くんに怒ってたとき、ちょっと安心しちゃったな。



紺くんは…紺くんはちょっと特別で

出会い方が特別だったからかもしれないけど

シローくんとキラくんよりは私の中で確かに特別で

ふたりになれると嬉しくて

でも話してるとちょっと苦しくなったりもして


紺くんにはいい子の友達がふたりもいて

私は友達すらひとりもいなくて


私みたいなのに友達をもつ資格なんてなくて


私が教室に行けないのは

悪口を言った人が教室にいるからじゃなくて

その悪口を知って、私を無視するようになった人がいるからで


それより辛いのは

両親にこのことを伝えても、きっと自業自得だとか気のせいだって言われるからで

家族だってみてくれない私を見てくれる人なんているわけなくて


もうずっと、とっくに、何年もやめたいけど

やめたら両親は悲しむってわかっちゃってて

理由を言ったら傷つけるってのもわかってて

自分でやめるのがたぶんいちばん傷つけることができて

苦しいときは両親と一緒にいたくないし、苦しい理由は両親だけど

傷つけたくはなくて


事故のニュースとか見るたびに、いいなって思っちゃってて

羨ましく思っちゃってて

この感情は人として良くなくて


こんな私が


紺くんと一緒にいていいわけがない