試験当日。
厳重な装備に身を包んだ私は、母の運転で大学へ向かった。
事前に決めていた時間に入口で待っていてくれた新人の先生に案内され、速やかに安全なはずの教室へ通される。
安全が確保できたことで、毎回着脱が億劫になる全身装備をゆっくり外していった。
視界に、蛍光灯の白い光が広がる。
壁の時計を確認すると、試験開始までまだ三十分ほど時間があった。
教室の真ん中にぽつんと置かれた一つだけの席に座り、不安な部分をまとめた一枚のルーズリーフを見つめる。
何度も見返していたせいか、五分ほどで確認することにも飽きてしまった。
試験が終わったら、お店に行く約束をしている。
紺くんたちに会えることを考えると、思わず頬が緩んだ。
ママさんの作る日替わりのお菓子も楽しみだった。
そんなことを考えているうちに、あっという間に試験開始五分前になる。
ルーズリーフを鞄にしまった。
ちょうどそのタイミングで、試験監督の先生が教室に入ってくる。
問題用紙と解答用紙を受け取り、裏返しのまま机に置いた。
手を膝の上に置き、静かにチャイムを待つ。
チャイムと同時に用紙をめくり、右手でシャーペンを握った。
場所が違うだけで、ちゃんと他の学生と同じように試験を受けられている。
私は、そのことにほんの少しだけ救われていた。
試験開始から三十分ほど経った頃、視界がわずかに霞んだ。
けれど、許可をもらっている目薬を差し、数回瞬きをするとすぐに回復した。
ただの目の疲れだと思った。
だって、この教室は特別だから。
それから試験を一つ終えるごとに、頭と身体が少しずつ重くなっていく。
集中力が、ゆっくり削れていく感覚があった。
睡眠不足のせいだと思った。
試験前日は、毎回どうしても眠れない。
詰め込みが悪い癖なのは自分でもわかっている。
けれど、不安なままでは、そもそも眠ることなんてできなかった。
あと一つ試験を終えたら、お店に行ける。
頭の中で小さく気合いを入れ直し、時間が過ぎるのを待った。
試験監督の先生が来るまで、あと三分くらい。
――私の、今日の学校での記憶はここまで。
厳重な装備に身を包んだ私は、母の運転で大学へ向かった。
事前に決めていた時間に入口で待っていてくれた新人の先生に案内され、速やかに安全なはずの教室へ通される。
安全が確保できたことで、毎回着脱が億劫になる全身装備をゆっくり外していった。
視界に、蛍光灯の白い光が広がる。
壁の時計を確認すると、試験開始までまだ三十分ほど時間があった。
教室の真ん中にぽつんと置かれた一つだけの席に座り、不安な部分をまとめた一枚のルーズリーフを見つめる。
何度も見返していたせいか、五分ほどで確認することにも飽きてしまった。
試験が終わったら、お店に行く約束をしている。
紺くんたちに会えることを考えると、思わず頬が緩んだ。
ママさんの作る日替わりのお菓子も楽しみだった。
そんなことを考えているうちに、あっという間に試験開始五分前になる。
ルーズリーフを鞄にしまった。
ちょうどそのタイミングで、試験監督の先生が教室に入ってくる。
問題用紙と解答用紙を受け取り、裏返しのまま机に置いた。
手を膝の上に置き、静かにチャイムを待つ。
チャイムと同時に用紙をめくり、右手でシャーペンを握った。
場所が違うだけで、ちゃんと他の学生と同じように試験を受けられている。
私は、そのことにほんの少しだけ救われていた。
試験開始から三十分ほど経った頃、視界がわずかに霞んだ。
けれど、許可をもらっている目薬を差し、数回瞬きをするとすぐに回復した。
ただの目の疲れだと思った。
だって、この教室は特別だから。
それから試験を一つ終えるごとに、頭と身体が少しずつ重くなっていく。
集中力が、ゆっくり削れていく感覚があった。
睡眠不足のせいだと思った。
試験前日は、毎回どうしても眠れない。
詰め込みが悪い癖なのは自分でもわかっている。
けれど、不安なままでは、そもそも眠ることなんてできなかった。
あと一つ試験を終えたら、お店に行ける。
頭の中で小さく気合いを入れ直し、時間が過ぎるのを待った。
試験監督の先生が来るまで、あと三分くらい。
――私の、今日の学校での記憶はここまで。

