「こーん、せっかくの誕生日なのになんかテンション低くなーい?」


シローは紺の肩に手を回し、絡みに行った。


彼は酒に弱く、酔っ払うのが早い。


「いつもと変わんねーよ」


紺は、気だるそうにシローを押し退けた。


「やっばシロー顔まっ赤」


シローと紺のやりとりを見たキラは、陽気に笑っている。


「ねー、檸○堂飲んでいい?」


「シローもうやめとけって」


紺はそう言ってシローから缶を取り上げた。



「うわー」


キラが突然低く呟いた。


「急にどうした?」


シローに肩を預けられながら、紺はキラに問いかけた。


「明日さ…数学、小テストあるしね?」


「うわ、そうじゃん最悪」


キラがテストのことを思い出したせいで、紺の酔いは少し覚めた。


「あー、明後日から放課後補習かー」


「補習……だな」


二人は、いつも通り補習を回避することを早々に諦めていた。


「ふらりろも、あ、あひらめるの、はやーくらい?」


シローはおそらく「二人とも諦めるの早くない?」と言いたいのだろう。


「ダメだこいつ、呂律回ってないな。……紺、そろそろ解散するか」


「だな」


紺とキラは後片付けを始めた。


紺が最後にゴミをまとめ、キラはシローの肩を担いだ。


そうして三人は、それぞれの帰路についた。