その頃、佐藤はキラの母親に頼まれた買い物を済ませ、帰り道のコンビニに立ち寄っていた。
「7番、ひとつください」
「かしこまりました。身分証のご提示をお願いします」
「……え?」
「最近、近くの高校で問題がありまして。皆さまに身分証のご提示をお願いしているんです」
少し怯えた様子で、店員が説明する。
「あいつら、ふざけんなよ……」
ぼそりと呟き、佐藤は下唇を噛みながら財布を取り出した。
中身を確認し、その手が止まる。
「すみません。お金、忘れました。また来ます」
そう言って、佐藤は店を出た。
「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」
店を出たその瞬間、補習を終えたばかりの紺とばったり鉢合わせた。
「……うわ、最悪」
佐藤を見るなり、紺はわかりやすく不機嫌になった。
「お前さ」
「なんだよ」
「そのポッケにあるやつ、くんね? もういらないっしょ」
紺はポケットを探り、タバコを取り出した。
少しだけそれを見つめてから、佐藤に投げつける。
「金は?」
「いつかな」
「ふざけんなよ」
同じ方向へ向かう二人は、一定の距離を保ったまま並んで歩き出した。
「……火も」
雑に手を差し出す佐藤に紺は無言でライターも投げつける。
受け取った佐藤は、タバコに火をつけた。
「おっさんが子供にたかってんじゃねぇよ」
「ガキがこんなもん持ってイキってんじゃねぇよ」
二人が店に到着した時、佐藤は買ったものを紺に渡した。
「これ、キラのお母さん渡して」
「たく、押し付けてんじゃねぇよ」
「着替えてくる。頼んだ」
そう言って、佐藤さんは店の外にある階段から2階にあるキラの家に入っていった。


