今夜0時、輝く桜の木の下で

紺とシローが外で一服している頃、店内に残された咲夜とキラは談笑していた。


「キラくんも、テスト合格したんだね! おめでとう!」


咲夜が明るい声で言うと、キラは背もたれに深く寄りかかり、ほっと息を吐いた。


「まじで今日で終わって良かったっす」


「試験も体力使うし、疲れるもんね」


キラは苦笑して、指でカップのフタをいじった。


「それもそうっすけど、なんつーか……シローの目が日に日に黒くなってってて。これ以上は見放されそうでした」


「なにそれ」
咲夜は思わず笑った。


「いや、マジです! 本当怖かったんすよ」


「だとしても、見放しはしないでしょ。シローくんは」


「まぁ、そうなんすけどね」


咲夜はストローをくるくる回しながら尋ねた。


「みんなはずっと仲良いの?」


「俺と紺は小学校からで、シローは中学からっすね。
三人とも学校一緒なのは高校からっすけど」


「え、なんか意外かも」


「咲夜さんもなんとなくわかってると思うんすけど、
シロー、あいつ頭いいんすよ。ガチで」


「本当それ! すんごく頭いいよね、シローくん」


「なんでシローみたいな頭いいやつが、俺らの高校通ってるんだろって思わなかったっすか?」


「全然気にしてなかった」


「シローはぶっちゃけ、どこの学校でもいけるんすよ。でもまぁ……なんか俺と紺のとこにいてくれてて」


咲夜は頷きながら、自然と身を乗り出す。


キラは少し照れたように笑った。


「そんでまぁ、俺らが仲良くなるきっかけになってくれたのが、紺なんす」


キラの話を聞いていくうちに、咲夜の表情には不思議と嬉しさがこみあげてきていた。


「そうなんだ」


「紺は……あいつは本当にすごいというか、いい奴なんすよ」


キラの声には、単なる友達への賞賛以上のものが滲んでいた。