それから、シローとキラの勉強会が終わるまで、
俺は咲夜さんのことをたくさん聞いた。

彼女が“夜光症”を発症したのは、高校1年の頃らしい。


学校と相談して、リモート授業の形でなんとか卒業できたと、シローが言っていた。


今は、大学でも同じようにオンラインで授業を受けているらしい。


学部は情報系。


日中は家で講義を受けて、空いた時間にウェブデザインのバイトをしている。


クライアントの案件を夜中までやってる日もあるそうだ。


外に出られるのは夕方ごろからで、それでも日傘とサングラスが手放せないのだ。


咲夜さんはあの日、またカフェに来ると言っていた。


次に会う約束はしなかった。


「また会えるから」って、咲夜さんは笑っていた。


キラは追試に合格するまで、二週間かかった。


そのあいだ、咲夜さんには一度も会えなかった。