程よく栄えたこの街には、名前を書くだけで入学できると噂の高校があった。


この学校の生徒は夜中に出歩く者が多く、中には飲酒や喫煙をするものもいた。


紺(こん)もそんな生徒の一人だ。


奇跡的に高校生2年生へと進学した4月。


紺は17歳の誕生日を迎えた。



誕生日当日の22時ごろ、紺はクラスメイトで友達のキラとシローと近所の公園でたむろしていた。


桜が満開になるこの季節は、みんなライトアップされた夜桜を見に行くため、


この公園には紺たち以外誰もいなかった。



それをいいことに、彼らはテイクアウトしたピザと、


コンビニで購入したお酒を公園のベンチに並べ、


紺の誕生日を祝っていた。


「「紺!誕生日あめでと〜!!」」


キラとシローの掛け声に合わせて、


彼らは缶チューハイをぶつけ合った。