「エヌエルエイチエスって、知ってる?」


「「エヌエルエイチエス?」」


紺の問いかけに、二人はそろって首を傾げた。


「それ何? 日本語?」


キラは片手で紙をクシャクシャにしながら、もう一方の手でスマホを操作しはじめる。


「ありがと、キラ。でも俺も調べたけど、イマイチよくわかんなくて……。
シロー、なんか知らない?」


紺は正直、キラにはあまり期待していなかった。


「うーん、なんか聞いたことある気もするな。ちょっと待って、調べてみるよ」


「わりぃ、ありがとう」


「全然! 頼ってくれて嬉しいよ」


「なんで紺はさ、その“エヌエスエル”が気になってるの?」


あてにされていないのが不服そうなキラが口を挟む。


「多分、“NLHS”だよ、キラ」


シローが訂正した。


「いや、それは──」


紺が言いかけた瞬間、店内に鈴の音が鳴り響いた。