「合否くらいは連絡くれても良いだろ?」
それもそう。
いつもは書類の時点で落とされてるから面接して貰えるだけでも有難い。
「分かった。SNSのアカうん、ちょっと返して」
携帯は奪われて指先を右・左とスライドさせてる。
「俺は変わってないけど」
返してくれた携帯には番号とSNSの友達追加された真新しい“塩谷”の文字。
(またこれが入ってくるとは…)
離婚を機に携帯番号ごと一新して過去の自分とおさらばしたのに。
イヤと言うほど見て来た番号は高校時代から同じ。
私の記憶力は身体能力並みに凄いらしい。
「合否は連絡する!けど…付いてくるの?」
後ろを歩いてくる。
子供の初めてのお遣いじゃあるまいし!
目立つしホントやめて欲しい!
「旦那同伴も面白いだろ」
「元です!もーーーと」
「元…ねぇ」京祐の呟いた声は聞こえず言い切って図書館へと歩き出した。
面接とは名ばかりじゃないだろうか?
「職歴はっと申し分ないわね」
小会議室に通された私は主任と肩書のある加藤 百合子(かとう ゆりこ)さんに優しそうな笑みを浮かべられ、
「塩谷くんの紹介だし信用できるわ」
京祐の名前を口にした。
「いつから来れるかしら?うちはいつからでも良いんだけど」
産休に入る人の補充で私は面接を受けれたらしい。
いつもの私なら飛び跳ねてる。
落ち着いて我慢して「明日からでも大丈夫です」と平静を装ってみる。
今まで何度も“この度は残念ながら~”を手紙で見てくればやる気は十分。
「最近まで入院してたんでしょ?本当に」
「大丈夫です!体力と精神面は強いんで」
明後日、一週間後とか悠長に考えてられない。
いつ内定取り消しになるかも分からない。
なら善は急げだ。
「うちは助かるんだけど…しお、まあ良いわね!明日からお願いするわ」
しお…また京祐か?
とにかく受かれば何でも良い。
「じゃあ、詳しくは明日来てから教えるんで今日は館内を好きなだけ見て帰ってね」
加藤さんの優しい言葉にお礼を告げ広くて真新しい館内を歩き周る。
「本も大切にされてる感じ」
前に勤めていた図書館より遥かに規模が大きい。
何冊か手にして裏表紙を見ると寄贈者の名前が記載されてる。
「これだけ寄贈されるって星名さんて凄い人なんだろうな…」
寄贈=人の価値。
とまでは思わないけど何も思わない人に本を無償で譲らないだろう。
「俺からすればキミの方が凄いけど」
男は棚の本に手を軽く置き私を通さない。
「凄い?そうですか…どうも」
(…なんだこいつ)
腕の下を軽くすり抜けて選んだ本を閲覧コーナーに持って行く。
「ねぇ、キミって塩谷の何?」
京祐の名に足を止める。
「あなたこそ誰ですか?」
“茶髪のチャラそうな変人”って言葉は胸の中に留めた。
「俺?こう言う者です」
指先で名刺を出してくるところが…気持ち悪い。
「へぇー。医師なんですか、青山さん」
青山 悠斗(あおやま ゆうと)と書いてある。
所属は…内科。
見た目だけならホスト。
「次はキミの番」
「はぁ…」
面倒くさい!
でもこの男が京祐絡みだと答えないことが後々響いても困る。
明日からここで働くのに職場の付き合いも考慮して…
「葛城 紅。塩谷先生は私の高校の先輩です」
だから何?と笑みに圧を掛けると青山さんは「へぇ~」と呟き私の髪に触れ、
「そっか。これからよろしく」と触れた髪から手を離しその場から立ち去った。
「気持ち悪!ストレスたまってんのかな」
その時は“変な人”と片付けて久しぶりの独特な本の匂いを満喫した。
それもそう。
いつもは書類の時点で落とされてるから面接して貰えるだけでも有難い。
「分かった。SNSのアカうん、ちょっと返して」
携帯は奪われて指先を右・左とスライドさせてる。
「俺は変わってないけど」
返してくれた携帯には番号とSNSの友達追加された真新しい“塩谷”の文字。
(またこれが入ってくるとは…)
離婚を機に携帯番号ごと一新して過去の自分とおさらばしたのに。
イヤと言うほど見て来た番号は高校時代から同じ。
私の記憶力は身体能力並みに凄いらしい。
「合否は連絡する!けど…付いてくるの?」
後ろを歩いてくる。
子供の初めてのお遣いじゃあるまいし!
目立つしホントやめて欲しい!
「旦那同伴も面白いだろ」
「元です!もーーーと」
「元…ねぇ」京祐の呟いた声は聞こえず言い切って図書館へと歩き出した。
面接とは名ばかりじゃないだろうか?
「職歴はっと申し分ないわね」
小会議室に通された私は主任と肩書のある加藤 百合子(かとう ゆりこ)さんに優しそうな笑みを浮かべられ、
「塩谷くんの紹介だし信用できるわ」
京祐の名前を口にした。
「いつから来れるかしら?うちはいつからでも良いんだけど」
産休に入る人の補充で私は面接を受けれたらしい。
いつもの私なら飛び跳ねてる。
落ち着いて我慢して「明日からでも大丈夫です」と平静を装ってみる。
今まで何度も“この度は残念ながら~”を手紙で見てくればやる気は十分。
「最近まで入院してたんでしょ?本当に」
「大丈夫です!体力と精神面は強いんで」
明後日、一週間後とか悠長に考えてられない。
いつ内定取り消しになるかも分からない。
なら善は急げだ。
「うちは助かるんだけど…しお、まあ良いわね!明日からお願いするわ」
しお…また京祐か?
とにかく受かれば何でも良い。
「じゃあ、詳しくは明日来てから教えるんで今日は館内を好きなだけ見て帰ってね」
加藤さんの優しい言葉にお礼を告げ広くて真新しい館内を歩き周る。
「本も大切にされてる感じ」
前に勤めていた図書館より遥かに規模が大きい。
何冊か手にして裏表紙を見ると寄贈者の名前が記載されてる。
「これだけ寄贈されるって星名さんて凄い人なんだろうな…」
寄贈=人の価値。
とまでは思わないけど何も思わない人に本を無償で譲らないだろう。
「俺からすればキミの方が凄いけど」
男は棚の本に手を軽く置き私を通さない。
「凄い?そうですか…どうも」
(…なんだこいつ)
腕の下を軽くすり抜けて選んだ本を閲覧コーナーに持って行く。
「ねぇ、キミって塩谷の何?」
京祐の名に足を止める。
「あなたこそ誰ですか?」
“茶髪のチャラそうな変人”って言葉は胸の中に留めた。
「俺?こう言う者です」
指先で名刺を出してくるところが…気持ち悪い。
「へぇー。医師なんですか、青山さん」
青山 悠斗(あおやま ゆうと)と書いてある。
所属は…内科。
見た目だけならホスト。
「次はキミの番」
「はぁ…」
面倒くさい!
でもこの男が京祐絡みだと答えないことが後々響いても困る。
明日からここで働くのに職場の付き合いも考慮して…
「葛城 紅。塩谷先生は私の高校の先輩です」
だから何?と笑みに圧を掛けると青山さんは「へぇ~」と呟き私の髪に触れ、
「そっか。これからよろしく」と触れた髪から手を離しその場から立ち去った。
「気持ち悪!ストレスたまってんのかな」
その時は“変な人”と片付けて久しぶりの独特な本の匂いを満喫した。



