縁が無かったから離婚したのに(3K)元旦那と周りがうるさくて困ってます。優秀脳外科医の頭の中をのぞきたい

文化祭イベントで紅は俺を知ったんだと思う。
でも、俺はそれが最初ではない。

…初めては図書室。

派手な容姿でモテた紅。
図書室なんて興味なさそうなのに一番本に近い場所を陣取って一心不乱に本を読み漁る姿は見てて面白かった。

喜怒哀楽がハッキリしてる。

「もう!めっちゃ泣ける‼」

人目を気にせずティッシュで鼻をすすり数分後には
「ぎゃはは!」と笑いだす。

(…面白いやつ)

“もっと知りたい”から“一緒に居たい”そして“離したくない”と思った。

「部屋の一室は私の趣味部屋にして良い?」

プロポーズの後にお願いされてダメなんて言えるわけもない。

「いいよ」と答えると「じゃあ結婚する!」と喜ぶ顏に“じゃあ”と言われたショックはすぐ消えた。

「甘すぎる」とお兄さんには言われるけどそれでも良い。
本が大好きで買い集めては片付けなくてそれでも買って来て…それでも良い。

紅の実家で大量の本を見て安心した。
本好きな紅は俺の為に大好きな仕事を辞めて専業主婦になってくれたから。

(恩返し…?罪滅ぼし…?)

この気持ちは後悔?
でも今はまだ少しだけ…

「京祐早く!何処行けば良いのー?」

もう少しだけ…

「忘れた」

「はぁ?!」

紅の困る顔を見たい“拗らせ男”を我慢して欲しい。





普通忘れるとかある?

「もう。何処ー」

本当に京祐の頭の中をのぞきたい!
医者になれば良かったかな?
なればCTで頭までぱっかりと…
そんな思うほど簡単に医者になれるわけもない。

「ここ」

緑に囲まれた公園の真ん中に先月設立された図書館。
病院と同じ敷地内にあり建物は街の図書館並みに広く一般開放も
されていて今も子供たちが噴水近くで走り回ってる。

「本当にここ?」

半信半疑で聞いてみる。
今までの態度では簡単に信じられない。

「本当だよ。どうする?」

京祐が口角を少し上げる時は自信がある証拠。

「んー…ブランクあるからな」

大好きな物に対しては白黒つけるのに時間がかかる。

(こんなチャンスもう二度とないかもしれない…)

独身時代は国立までは行かないけど図書館で働いていた。
離婚してからも探してたけど求人倍率が10〜30倍。
時には80倍を超える時もあって全然ダメ。

「ブランクはあっても司書資格(国家資格)あるし一応面接受けてみれば?」

「う…ん…」

(ただ…元旦那と同じ職場って)

京祐は婚約者が居る。
どうして元旦那の幸せを近くで見ないといけないの?
恨みつらみは無いと言ってもそこまで心が広いわけじゃない。

「…ドSじゃん」とボソっと呟いた。

喧嘩売られてるのかな?
挑発に乗っちゃダメ。
分かってるのに。

「面接受けてみる」

買っちゃうんだよね…

そっちがその気なら私が先に幸せを見せつけてやる。

「頑張れよ」

何を頑張れ?
私の複雑な気持ち知らないくせに!
面接だって受かるかも分からない。

「紅、ありがとう、は?」

「受かってもないのに?」

そう返すの当たり前だよね。