縁が無かったから離婚したのに(3K)元旦那と周りがうるさくて困ってます。優秀脳外科医の頭の中をのぞきたい

「そう言う私のこと好きだもんね」

懐かしい顏をするからわざとふざけて話すと「そうね」と意地悪く笑う。

「おばちゃんから早めに終わるように言ってくれない?お父さん雨が降ってもやりかねない」

どんどん雲が空を覆っていく。
ここにいると私の気持ちと同じで曇って滅入る。

「言ってやめるもんなら止めてるよ。どうしても急ぎたいみたいでね」

おばちゃんで止まらないならどうしようもない。

「後で様子は見て来るし若い子達も一緒だから大丈夫だから心配することは無いよ」

そこまで言われて頷くしかない。

「冷たいうちに食べよう」

愛さんの言葉におばちゃんと私はシャインマスカットゼリーを頬張ると母親が事務所に携帯を持ってきた。

「鳴ってたわよ。青山先生みたいだけど。愛ちゃん私も食べたい」

ゼリーを催促しておばちゃんと「デートのお誘いかしら」と騒ぎたてる。

「もう違うって言ったでしょ!お母さん私の残り食べて良いよ」

一口食べたゼリーを渡して事務所の外で電話をすると意外なお願いをして来た。



呼び出された先はとある高級ホテルのラウンジ。
ホテルの入口近くにあるカフェのラウンジで待ち合わせて詳しい話はまだ聞かされてない。

「悪いな、妹がどうしても動きがあるのが見たいって」

「私で良いんですか?好みとかは…」

「好みは前回の打ち合わせで話してるって。身長とか体型も紅ちゃんに近いから」

携帯内で笑ってる妹さんは目の部分が青山さんと似ていて可愛いタイプ。

「この間のお礼もしてなかったんで…私で良ければ」

冬に結婚をする妹さんの衣装をホテルのブライダルサロンで何着か試着をする予定になってたらしいけど病気の為どうしても来れないってこと。

「じゃあ、頼むな」

「了解です!」

一気にアイスコーヒーを飲み干してブライダルサロンへ向かう。

(…これ)

「気になる?多分、塩谷来てると思うよ」

【腫瘍学 Oncology(オンコロジー)シンポジウム】と書かれた案内板。

「そうなんですか。私にはさっぱり分からない内容なんで」

“澪さんも居るんじゃないですか?”と言うのはやめた。

女の勘だと澪さんは青山さんを好きなんじゃないかな?
何で京祐と婚約したのかは分からないけど私の口からは言わない。

「がんや肉腫とかの腫瘍に関する研究や診断、治療、予防の専門分野家が発表とかディスカッションする感じだな」

難しすぎる…
熱中症でもないのに頭が痛くなりそう。

「もう教えてくれても良いんじゃない?紅ちゃんて塩谷の嫁だよな?」

「どうしてそう思うんですか?」

「塩谷の態度と紅ちゃんの視線の先を見てれば分かる」

この人軽そうだけど口は堅い。
視線の先が気にはなるけど聞かなかったことにしよう。

「俺と澪と塩谷は同期。相手は知らなかったけど結婚した当時を俺は知ってるから」

だからこの間「塩谷」って呼んでたのか。

「はぁ~。元ですよ。元嫁です!とっくに離婚してます」

本当の話。

「そう言うわけで早く行きましょう」

この話を長引かせたくない。
青山さんも少し切ないように見え…る?

「そうだな。やべぇ!時間過ぎてる」

時計をみた焦りにつられてお互い足を速めた。