縁が無かったから離婚したのに(3K)元旦那と周りがうるさくて困ってます。優秀脳外科医の頭の中をのぞきたい

頭の部分が外されたのは分かる。

「早く担架を持ってこい」

青山さんの厳しい口調にちょっと安心して私は目を閉じた。



またこの白い天井を見る事になるとは…
今回は腕に点滴付き。

「身体能力おばけなんだけどなぁ…」

さすがに水分は人体に必要らしい。

「おっ、目覚めたか?まだゆっくりしてろよ」

白衣はよく見るけど聴診器を首に掛けた青山さんはレアもの。

「助けてくれて…ありがとうございました」

「あんな飲み物、置きやがって!」

この怒り方もレア。
普段は見せない姿に笑みが零れる。

「点滴終わったら家族呼んで一緒に帰ること!念の為、明日…休みか、月曜も休ませるように加藤主任に伝えとく」

「ははっ。お願いします」

ーシャーッ

「紅‼」

囲われた白いカーテンが荒々しく開き京祐が入ってきた。

「おいおい。ここはお前の管轄外だろ」

「そんなのどうでも良い!紅、大丈夫か?!」

凄い汗といつもはしっかりと着た白衣は半分しか着れていない。

「大丈…」

そして京祐越しに白衣を着て黒髪をきっちり結んだ綺麗な女性が立っている。

「なんで澪まで来るんだよ」

青山さんは不機嫌そうに澪さんに言うと「ふふっ」と笑うだけ。

「澪はその…一緒の手術だったんだ」

京祐が私の頬に触れようとした瞬間…

ーバシッ

「ただの後輩を触らないで下さい。あの一人にして貰えませんか?帰りは」

「俺が送ってやるよ」

青山さんは何か感じたのかも知れない。

「よろしくお願いします。すみません…少し眠ります」

ぎゅっと目を閉じると「紅」と切ない声が聞こえた。

(…そろそろ良いかな)

皆んなが出て行ったのを気配で感じて目を開ける。

初めてみた澪さんは綺麗だった。
私と違う儚さそうな顏。
でも私?…いや違うあれは青山さんを見つめる瞳は寂しそうに感じた。

「…元嫁ってバレたらどうすんのよ」

それに、あの澪さんの寂しそうな瞳は?

「関係ないか」

考えたって京祐と私は終わってる。

「俺の胸貸そうか?」

カーテンの隙間からにやりと笑った青山さんが顏を出す。

「結構です!」

それ以上は何も言わない。
ただ私の頭をペシッと叩き室内から出て行く足音がして今度は本当に目を閉じた。



日曜と月曜日休んだ私の体力は全開。
そして目の前には…

「本当にごめんなさい」
「すみませんでした」

二人の女性職員が謝って来た。
相当怒られたらしい。
命の危険に関わる行動に病院側からも処分の話が出たらしい。

「生きてますし良いですよ。次、何かあれば許しませんけどね」

最後は完璧に脅し。

「処分は求めない」と私が言ったおかげで彼女達の今があるわけで感謝して欲しい。

「怖いのか、優しいのか分からないわね」

主任は苦笑い。