「俺が悪いんで仕方ないですよ」
「同じ物をもう一杯」と大将に注文してお品書きを開く。
「そう悩むなって。俺も愛があんな風になったら同じ事した」
当時の紅は一気に全部を背負い日に日に痩せて言葉も少なくなった。
研修医の俺も家に戻るのもままならず…紅に苦労をかけた。
「逃げでしょ?!は効きましたね…」
本当は紅とアメリカに行きたかった…
状況がそうさせてくれず紅と話し合いもする間もなく…
そして半年後…俺は離婚届を送った。
「逃げたくもなるよな…毎日毎日勉強に慣れない土地。それに紅の無関心」
たまに届く連絡も“うん”と“分かった”のみ。
離婚届なんて理由も聞かれずに即サイン。
(紅の負けず嫌いに少し掛けてみたんだけどな…)
帰れない俺の元へ来てくれるかと期待した掛けは儚く散った。
「あの時、紅に俺まで抱えさせるわけには行かなかったんですよ…」
精神的にどうにかなりそうなほどの手術の日々。
連絡すれば絶対に愚痴をこぼしたと思う。
「俺と親父とおふくろはお前を信用してたし、それに約束守ってるじゃん」
「本当に感謝ですよ…あの二人まで敵に回したくない」
特にお母さんの方…とは言わない。
「だな。俺はお前の味方!」
こう言う所はお父さん似の圭太さん。
「あの件の雲行きが怪しくなってるんですよ。それで相談を…」
「まじかよ…それはヤバいな」
ここからは男同士の話。
お酒も進み連日の手術で疲れた俺は不覚にも意識を手放した。
ゆらりゆらりと揺すられる身体を無意識に預ける。
「何で飲ますのよ!ただでさえお酒弱いのに!」
紅の怒号と圭太さんの「すまん」と声が聞こえ少し目を開けた。
「京祐、大丈夫?気持ち悪くない?」
心配されるのが新鮮で嬉しくて寝かされた布団から手を出し紅に触れる。
「大丈夫そうだな!後は頼んだ。愛、行くぞ」
「ごゆっくり。紅ちゃん後はよろしく」
「ちょっと!ここ私の部屋だって!!!」
部屋の障子は無情にもパタンと閉めらた。
「紅、ごめん」
冷たいタオルを額に置いてくれて気持ち良い。
「もう!」と言いながらもこう言う時の紅は本当に優しいんだよな。
「偶然会ったからって飲みすぎだよ。明日仕事、」
「大丈夫当直。出勤は夕方から」
圭太さんの“偶然”と言う嘘に感謝。
おかげで嬉しいサプライズまで…顏が近いんだよな。
紅の無意識にも感謝。
「着替えは兄貴に頼んで私じゃないからね‼」
聞いてないのに顏を真っ赤にして言い訳する紅が可愛い。
…それが悪い。
「はっ、離してよ!」
布団越しでも分かる紅の温もり。
安心と癒しでしかない。
「嫌だ」
酔うと何でも出来る気がする。
「そんな、わがまま…」
わがままと言われようと、
「紅」
「もう!うるさい、っん…」
怒られようと離さない。
俺は抱きしめて紅にキスをした。
「なんで」
言葉を発するたびに唇を重ねる。
「いい加減に」
ーチュッ
「お酒くさ」
ーチュッ
「笑わないで!」
ーチュッ
可愛い顏がどんどん赤くなる。
じゃあ最後に…
「ちょっとそこ!」
Tシャツを少し捲り強めに鎖骨を吸った。
俺の痕。
医者なのに痕を残したいと思うって貴重だ。
普段は治す方なのに。
「同じ物をもう一杯」と大将に注文してお品書きを開く。
「そう悩むなって。俺も愛があんな風になったら同じ事した」
当時の紅は一気に全部を背負い日に日に痩せて言葉も少なくなった。
研修医の俺も家に戻るのもままならず…紅に苦労をかけた。
「逃げでしょ?!は効きましたね…」
本当は紅とアメリカに行きたかった…
状況がそうさせてくれず紅と話し合いもする間もなく…
そして半年後…俺は離婚届を送った。
「逃げたくもなるよな…毎日毎日勉強に慣れない土地。それに紅の無関心」
たまに届く連絡も“うん”と“分かった”のみ。
離婚届なんて理由も聞かれずに即サイン。
(紅の負けず嫌いに少し掛けてみたんだけどな…)
帰れない俺の元へ来てくれるかと期待した掛けは儚く散った。
「あの時、紅に俺まで抱えさせるわけには行かなかったんですよ…」
精神的にどうにかなりそうなほどの手術の日々。
連絡すれば絶対に愚痴をこぼしたと思う。
「俺と親父とおふくろはお前を信用してたし、それに約束守ってるじゃん」
「本当に感謝ですよ…あの二人まで敵に回したくない」
特にお母さんの方…とは言わない。
「だな。俺はお前の味方!」
こう言う所はお父さん似の圭太さん。
「あの件の雲行きが怪しくなってるんですよ。それで相談を…」
「まじかよ…それはヤバいな」
ここからは男同士の話。
お酒も進み連日の手術で疲れた俺は不覚にも意識を手放した。
ゆらりゆらりと揺すられる身体を無意識に預ける。
「何で飲ますのよ!ただでさえお酒弱いのに!」
紅の怒号と圭太さんの「すまん」と声が聞こえ少し目を開けた。
「京祐、大丈夫?気持ち悪くない?」
心配されるのが新鮮で嬉しくて寝かされた布団から手を出し紅に触れる。
「大丈夫そうだな!後は頼んだ。愛、行くぞ」
「ごゆっくり。紅ちゃん後はよろしく」
「ちょっと!ここ私の部屋だって!!!」
部屋の障子は無情にもパタンと閉めらた。
「紅、ごめん」
冷たいタオルを額に置いてくれて気持ち良い。
「もう!」と言いながらもこう言う時の紅は本当に優しいんだよな。
「偶然会ったからって飲みすぎだよ。明日仕事、」
「大丈夫当直。出勤は夕方から」
圭太さんの“偶然”と言う嘘に感謝。
おかげで嬉しいサプライズまで…顏が近いんだよな。
紅の無意識にも感謝。
「着替えは兄貴に頼んで私じゃないからね‼」
聞いてないのに顏を真っ赤にして言い訳する紅が可愛い。
…それが悪い。
「はっ、離してよ!」
布団越しでも分かる紅の温もり。
安心と癒しでしかない。
「嫌だ」
酔うと何でも出来る気がする。
「そんな、わがまま…」
わがままと言われようと、
「紅」
「もう!うるさい、っん…」
怒られようと離さない。
俺は抱きしめて紅にキスをした。
「なんで」
言葉を発するたびに唇を重ねる。
「いい加減に」
ーチュッ
「お酒くさ」
ーチュッ
「笑わないで!」
ーチュッ
可愛い顏がどんどん赤くなる。
じゃあ最後に…
「ちょっとそこ!」
Tシャツを少し捲り強めに鎖骨を吸った。
俺の痕。
医者なのに痕を残したいと思うって貴重だ。
普段は治す方なのに。



