愛は花あられ


「誠太、やめて。そんなくだらないこと言ってないで仕事しなさいよ。」

わたしがデスク上に置いてあった書類を確認しながら言うと、誠太は「妃都は仕事熱心だよなぁ。尊敬するよ。」と言った。

「誠太がダラけ過ぎなのよ。わたし今日忙しいから、放っといてくれない?」

わたしは誠太にそう言い放つと、一部の書類を持ち、「青木くーん!ちょっとチェックお願いしたい書類があるんだけど。」と主任の青木くんの元へ行った。

2年前、誠太と付き合っていた事はごく一部の人に知られている。

だから、あまり誠太と一緒に居るところを見られたくないのだ。

仕事の話ならまだしも、誠太は無駄に話し掛けてくるからやめて欲しい。

わたしは仕事に集中し、休憩時間もデスクで片手にカフェラテを持ち、一息つきながらパソコンから離れられずにいた。

そして、時間はあっと言う間に過ぎ、18時。
うちの会社の定時だ。

師道社長は、そろそろ帰宅する頃だろう。

わたしはそのままパソコンの前で仕事を続けていた。

周りの部下たちは「雪宮部長、お先に失礼します。」と次々と退勤していく。

「お疲れ様〜。」

わたしがそう返事しながら、パソコンの打ち込みをしていると、「あれ?雪宮部長、残業ですか〜?」と言う声がまた聞こえてきた。

ふと横を見上げると、そこには帰宅準備を済ませた誠太の姿があった。