それから師道社長に手伝ってもらいながら料理を作り、食事を済ませたわたしたちはお風呂を沸かし、いつもは先に師道社長から入るのだが「今日は先に妃都が入っておいでよ!」と言われ、わたしが先に入らせてもらった。
そして、わたしがお風呂から上がってくると、師道社長は眼鏡をかけ、ソファーに座りながらスマホをいじっていた。
あぁ、やっぱりわたしが見てない時に女性と連絡を取っているんだな。
少しでも信じようとしたわたしが馬鹿だった。
わたしはそう思いながら師道社長に近付いて行った。
すると、わたしに気付いた師道社長は顔を上げ、眼鏡を外すと「あ、妃都。ゆっくり入って来れたかい?」と言った。
「はい。お次、師道社長どうぞ。」
わたしはそう言って、師道社長とは離れてソファーに座った。
「ねぇ!妃都、見てよ!」
師道社長はそう言いながら、わたしの隣へと座り直し、わたしにスマホの画面を見せてきた。
「何ですか?」
そう言ってわたしはふと師道社長のスマホ画面に視線を移した。
それを見て、わたしはハッと驚いた。
師道社長が開いていたのは、スマホの電話帳でそこには男性の名前しか並んでいなかったのだ。
「ちゃんと女性の連絡先は削除したよ?あと、ほら。LINEも女性は全てブロックした!」
そう言って次に見せてきたLINEのともだち一覧にも、多分だが女性らしき"ともだち"は見当たらなかった。
この人、本当に女性の連絡先を全部無くしたの?



