愛は花あられ


「俺、、、正直言うと、今までは妃都が嫌うその男たちと同じ部類だった。たくさんの女性を傷付けてきたと思う。でも、俺は妃都と出逢って考え方が変わった。俺に媚びることもなく、色目を使うわけでもなく、仕事に対して真っ直ぐな妃都を見て、心を痛いくらいに鷲掴みにされたんだ。」

わたしから目を逸らす事なく、真っ直ぐに伝えてくれる師道社長。

今までの男たちは、わたしの目なんて見ないで、「もう裏切らないから。」とただそう言っておけば良いような、その場しのぎのように言ってきた。

でも、師道社長の瞳は真剣だった。

わたしは、、、この人を信じていいんだろうか。

「妃都が俺を信じてくれるようになるまで、俺は何だってやるよ?そうだ!まずは、井神さんを秘書から外そう!」
「えっ?!」
「だって、井神さんは女性だし、俺のそばに居たら信用出来ないでしょ?俺の愛人になりたいって言った罪もあるし、秘書は男にしよう!誰がいいかなぁ〜?」

この人、本気なの?

わたしの信用を得る為に秘書を男性に変える?

「そ、そんなことしちゃって、大丈夫なんですか?」
「問題ないよ。現に俺は井神さんからの誘いを断り続けているのに困っていたし。あとは、連絡先に入ってる女性は全部削除する。」
「えっ?!いやいや!そこまでしなくても!仕事に支障が出るんじゃないですか?!」
「大丈夫だよ!秘書に持たせるスマホの方に連絡先が入ってるから、連絡が必要な時は秘書にかけさせればいいだけだから!」

師道社長は冗談ではなく、本気でそう言っているようだった。

それから師道社長は、「あ、料理する手を止めてごめん!俺、人参切るね!どのくらいの大きさに切ったらいい?」と言い、包丁を持った。

全国的に有名な師道ホールディングスの社長が包丁を持ってる、、、
料理を手伝おうとしてくれてる、、、

わたしのキツく閉ざされた心は、微かに動き始めようとしていた。